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金融資産選択における行動経済学的要因の影響

 

中国人民大学 修士課程・九州大学 経済学府博士前期課程
フォン・シュエン

九州大学 経済学府博士前期課程
チュアイシリ・パニニー

九州大学 経済学研究院 准教授
木成 勇介

要旨



本稿の目的は、行動経済学的要因が銀行預金や株式といった個別の資産保有行動に与える影響を明らかにすることである。行動経済学的要因としては、金融に関する知識とその知識に対する自信の程度で定義する自信過剰及び自信過少、また時間割引率と現在バイアスに着目する。大阪大学が2010年に実施したアンケート調査「暮らしの好みと満足度」を用いて個別金融資産保有関数を推定した結果、自信過剰と金融に関する知識は株式や投資信託など様々な資産を保有する確率を上昇させる一方、時間割引率と自信過少はその確率を低下させることがわかった。また、現在バイアスが各資産を保有するかどうかの意思決定に大きな影響を与えているという強い証拠は得られなかった。さらに、保有している金融資産の数に対する行動経済学的要因の影響を分析した結果、金融に関する知識及び自信過剰は保有する資産の種類を有意に増加させるのに対し、自信過少と時間割引率は保有する資産の種類を有意に少なくさせることがわかった。