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高齢者介護の負担:家族介護者の睡眠への影響に焦点をあてて

 

公益財団法人アジア成長研究所 准教授

新見 陽子

要旨



本稿では、日常生活のなかで高齢者介護が家族介護者にどのような影響をもたらしうるのか、介護者の睡眠状況に与える影響に焦点をあてて分析を行う。具体的には、大阪大学が行った「くらしの好みと満足度についてのアンケート」からの個票データを用いて、親の介護を担うことで介護者である子供の睡眠時間が短縮されるか否かを検証する。推定結果によれば、親の介護は介護者の睡眠時間を短縮させる効果をもち、これは介護者の睡眠不足の問題を示唆するものといえる。介護によって睡眠不足が継続してしまうと、介護者が十分な休息をとることができず、長期的には介護者の健康状態や職場での生産性などへの悪影響が懸念される。したがって、本研究の推定結果は、夜間介護に対する支援体制の強化やショートステイの定期的利用の確保など、レスパイトケア(respite care)の重要性をあらためて強調するものといえよう。