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仕事と介護の両立を考える−「ながら」介護の実態から−

 

立命館大学 産業社会学部 教授

津止 正敏

要旨



「仕事と介護の両立支援」が政策タームとなって以降、介護が一挙に経済問題化した。本稿では、介護保険制度の成立背景ともなった「新しい介護実態」の考察から「仕事と介護」というテーマを取り上げてみた。いま介護者の多くは働いている、50代前半の男性介護者の9割以上は仕事をしている、という事実を政府データによって検証してみた。介護保険や介護休業等の制度は、いざ介護が始まれば介護に専念できる家族の存在を前提としているのだが、介護者の多数はもう介護しながら働いている人たちだ。さらに、通いながら子育てしながら修学・婚活しながら介護している。もう「ながら」の介護は在宅介護そのものだ。ただ「ながら」介護はあれもこれもという困難さの極みというだけでなく、24時間365日介護漬けからの開放という可能性も内包している。介護することの意味を問い、介護を排除して成り立つような社会とは一線を画する介護のある暮らしを標準とする社会を展望してみた。