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世代間資産移転と家族介護

 

法政大学 経済学部 准教授

濱秋 純哉

要旨



本稿では、家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」とゆうちょ財団「家計と貯蓄に関する調査」の個票データを用いて、世代間資産移転と家族介護の関係及び近年の変化を分析した。その結果、子供による親の介護は遺産や生前贈与の受取と正の相関を持つことが確認された。具体的には、まず、親の死亡前に子供がその親の主な介護者だった場合、生存配偶者と子供の間の遺産配分において子供がより多くの割合を受け取る傾向が見られた。また、子供間での遺産配分においても、親の介護をしていた子供が他の兄弟姉妹よりも多くの割合を受け取る傾向があった。さらに、親からの生前贈与の受取は、子供が親と同居する確率や親を介護する確率と正の相関を持つことが分かった。最後に、近年の世代間資産移転と家族介護の関係に変化が見られるか確認したところ、家族介護の割合が低下していることと、若い世代では親の老後の面倒を看た子供が遺産を多く受け取る傾向が弱まりつつあることが示唆された。