主席研究官 松浦 克己
メインバンクについて、近年多くの研究が進められているが、本稿では先行研究と定型的事実を踏 まえ、メインバンクを「当該企業に対する最大の融資残高を持つ金融機関であって、企業が経営困難 に陥ったとき、委託された代表的監視者として、契約には明示されていない残余決定権を一任され、 自己の債権を劣後させた上で、企業の再組織化を行うもの」ととらえる。その上で、本稿では、1.ど のような銀行がメインバンクとなるのか(あるいは、メインバンクになれないのか)、2.メインバン クは何故企業の危機処理に当たるのか(あるいは、当たらないのか)を考察し、そこから、3.メイン バンクの意義を再検討する。