第二経営経済研究部長 原田 泰 第二経営経済研究部研究官 堀内 聡
当論文では、バブル経済期のストック価格の変動が生まれた要因を探り、ストック価格を視野に入 れた安定的金融政策のあるべき姿を考察する。 第1節ではストック価格の決まり方を考える。ストック価格は収益を割引率と収益の成長率の差で 際したものであり、収益の成長率予想によってストック価格は大幅に変動する。そこでさらに利子率 が物価上昇率によって調整される場合とされない場合とに分けてストンク価格を算出したが、実際の 利子率と物価上昇率を回帰した結果、後者で求められた次の式が妥当と考えられる。 ストック価格=収益/(名目利子率+リスクプレミアム−マネーサプブライ伸び率+α) ただしα=マネーサブライ伸び率−名目GNP成長率 第2節ではこの式が現実のストック価格を説明できるかを検討する。ここからマネーサプライの安 定的な供給がストック価格を安定させることが分かった。 以上より金融自由化の遅れとマネーサプライの変動が80年代後半のストック価格の変動をもたら したことが分かった。