1994年5月:No.1994―05

『中小企業貸出市場における公的金融のシェアの要因分析―情報の非対称性を考慮したECMによる推計―』

                            特別研究官(長崎大学教授) 松浦 克己
 銀行と借り手の間に情報の非対称性があるとき、不況時などでその非対称性が大きくなり銀行の融資態度がシュリンクし、企業の投資資金の調達が困難になり経済が更に悪化することが指摘されている。本研究では情報の非対称性の程度(銀行の中小企業向け貸出態度)を明示的に考慮し、銀行の融資態度がシュリンクするときの公的金融の貸出シェアが上昇し、企業投資とマクロ経済のテコ入れに寄与しているかどうかを実証した。分析期間は83年第1四半期から92年第1四半期である。それによれば、銀行の融資態度のシュリンクは公的金融の貸出シェアの上昇につながっていることが確かめられた。

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