公的介護保険と介護用貯蓄



浜田浩児


要旨
 公的介護保険の導入によって、現役時の介護用貯蓄の必要性が低下する一方で、老後に要介護状態になった場合の貯蓄取崩しの必要性も低下する。本稿では、日本では現役世代の介護用貯蓄実施率(郵政省郵政研究所「家計における金融資産選択に関する調査(1996年度)」による)が低いために前者の効果はあまり大きくはないのに対し、今後、高齢化に伴い後者の効果が大きくなっていくことから、公的介護保険による個人貯蓄率低下の程度は小さくなっていくと見込んでいる。


1.はじめに

 個人貯蓄には、老後に要介護状態になった場合に備える目的で行われる部分があると考えられるが、この介護用貯蓄の必要性は、公的介護保険の導入によって低下する。しかし、一方で、老後に要介護状態になった場合の貯蓄取崩しの必要性も、公的介護保険によって低下する。したがって、公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響は、それによる現役世代の貯蓄の減少と老後世代の貯蓄取崩しの減少のどちらが大きいかに依存する。

 これについては、現役世代の誰もが老後に要介護状態になる可能性があるので介護用貯蓄を行うのに対し、老後世代で要介護状態になって貯蓄を取り崩すのは一部だけであるから、現役世代の貯蓄減少の効果の方が大きく、公的介護保険によって個人貯蓄は減少するはずである。しかし、1996年度の「家計における金融資産選択に関する調査」(郵政省郵政研究所)によれば、介護用貯蓄を行っている現役世代の割合は意外に少なく、要介護状態の発生率とあまり変わらない。したがって、現役世代の貯蓄減少の効果はあまり大きくはないため、公的介護保険によって個人貯蓄が減少するとは、必ずしもいえない。

 本稿では、今後の日本においては、高齢化に伴い、公的介護保険による老後世代の貯蓄取崩し減少の効果が大きくなっていくことから、公的介護保険による個人貯蓄率低下の程度は小さくなっていき、高齢化のピーク時付近では、むしろ、公的介護保険が個人貯蓄率低下を緩和することを示す。
 以下、第2節で、公的介護保険により個人貯蓄率が低下するか上昇するかを分ける条件等を求める。第3節では、それに基づいて、今後の日本における公的介護保険の個人貯蓄率に対する影響を分析する。最後に、第4節で、本稿の結論と留意事項を述べる。

2.公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響

(1)各世代の貯蓄への影響

以下では、生涯は現役期間と老後期間の2期間からなり、老後期間になると要介護状態になるリスクが生ずるものとする。したがって、そのリスクに対する準備を現役期間中に済ませておく必要があるから、介護用貯蓄は現役期間に行われることになる。そして、老後期間に要介護状態になれば貯蓄は取り崩されるが、要介護状態が発生しなければ介護用貯蓄は生涯取り崩されずに残ることになる。
 また、介護用貯蓄は、所得にかかわらず介護費用をまかなうのに必要なだけ行われるものとする。要介護状態は老後期間中のいつ発生するかわからず、かつ、要介護状態になったら回復しない可能性があることから、介護用貯蓄は、老後期間全てにわたって要介護状態になった場合の介護費用をまかなえるだけ行われることになる。

 公的介護保険については、要介護状態になるリスクのある老後世代だけではなく、現役世代も保険料を負担するものとする。したがって、t期における老後世代の要介護状態発生率をqt、現役世代の老後世代に対する人口比率を1+πt、年間の公的介護保険給付をa とすると、年間保険料はとなる。

 以上の前提の下で、要介護状態になった場合の年間の個人介護負担は、年間介護費用をbとするととなるから、t期における現役世代の貯蓄shtは、
    [1]
と表わせる。ここで、ktは現役世代の介護用貯蓄の実施率、lt+1は現役期間の老後期間に対する比率、it+1は名目利子率である。また、gt+1は介護費用の上昇率であるが、介護費用は人件費のウェイトが大きいのでgt+1は賃金上昇率に等しいと想定する。

 一方、老後世代にとっては、b-aの部分は要介護状態になった場合にのみ個人介護負担となり、常に負担になるのは公的介護保険の保険料だけであるから、t期における老後世代の貯蓄sbtは、
      [2]
となる。

 公的介護保険の保険料率、老後人口比率は1より小さいから、[1]のaの係数の符号は負、[2]式のaの係数の符号は正となり、公的介護保険によって現役世代の貯蓄は減少するが、老後世代の貯蓄取崩しも減少するといえる。

(2)マクロの個人貯蓄への影響

 次に、マクロの個人貯蓄率をSRtとすると、
 SRt={(1+πt)sht+s<bt}/{(2+πt)yt}  (ytは所得)
だから、[1]、[2]式より、
   [3]
となる。

 したがって、
   [4]
であれば、現役世代の貯蓄減少効果が老後世代の貯蓄取崩し減少効果を上回り、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下し、[4]式の不等号の向きが逆であれば公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は上昇することになる。

ここで、は、1歳当たり人口でみた現役世代の老後世代に対する比率であるから、人口増加率に1を加えたものと考えられるので、[4]式の左辺は、名目経済成長率を利子率で割り引いた割引経済成長率といえるものに1を加えたものとみなせる。また、[4]式の右辺は、要介護状態発生率の介護用貯蓄実施率に対する比率と、現役人口比率の非要介護人口比率に対する比率との積である。要介護状態発生率は1よりかなり小さく、現役人口比率は非要介護人口比率より小さいから、介護用貯蓄実施率が相当低くなければ、[4]式の右辺は1よりかなり小さくなるため左辺を下回り、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下する。

 ところで、[3]式においてπt+1が低下するとaの係数は大きくなるから、高齢化の下では、公的介護保険はマクロの個人貯蓄率を上昇させる効果を持つ。また、gt+1が低下するときもaの係数は大きくなるから、賃金上昇率(介護費用の上昇率)が低下する場合にも、公的介護保険はマクロの個人貯蓄率を上昇させる効果を持つ。
 なお、公的介護保険の導入時τにおける老後世代は、その現役期間に公的介護保険を考慮せずに介護用貯蓄を行っていたわけであるから、貯蓄ストックの一部は公的介護保険の導入によって不用となり、取り崩されることになる。この不用部分はと表わされるから、τ期における老後世代の貯蓄sは、

となる。

 したがって、τ期におけるマクロの個人貯蓄率SRτは、
  [5]
となる。

 したがって、
 [6]
であれば、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下する。

 [6]式の右辺第2項は、介護用貯蓄実施率の前期比と非要介護人口比率の前期比との積の逆数である。高齢化の下では、非要介護人口比率の前期比は低下するが介護用貯蓄実施率の前期比は高まっていくと考えられるため、右辺第2項は1を大きくは下回らないであろう。一方、前述のように、右辺第1項の要介護状態発生率は1よりかなり小さく、現役人口比率は非要介護人口比率より小さい。このため、介護用貯蓄実施率がよほど低くない限り、[6]式の右辺は負か、正になるとしても非常に小さくなり、左辺を下回ることになる。したがって、公的介護保険は、導入時には、ほぼ確実にマクロの個人貯蓄率を低下させる。

 以上のように、介護用貯蓄実施率が相当低くなければ、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下する。さらに、公的介護保険の導入時には、ほぼ確実にマクロの個人貯蓄率が低下する。

(3)老後世代のみが保険料を負担する場合

 (2)では、老後世代だけではなく現役世代も公的介護保険の保険料を負担するものとしたが、これに対し、要介護状態になるリスクのある老後世代だけが保険料を負担するものとすると、年間保険料はqtaとなる。

 このため、t期における現役世代の貯蓄shtは、

と表わされる。要介護状態発生率qt+1は1より小さいからaの係数は負であり、公的介護保険によって現役世代の貯蓄は減少する。また、老後世代の貯蓄sbtは、
sbt=qt(b-a)-qta=-qtb
となり、公的介護保険の影響を受けない。これは、老後世代内で保険料と保険給付が等しくなるためである。
 したがって、マクロの個人貯蓄率SRtは、
  [7]
となる。公的介護保険によって現役世代の貯蓄が減少することを反映して[7]式のaの係数は負であり、必ず公的介護保険によって個人貯蓄率は低下する。

 [7]式と[3]式との差をとると、

となるから、
  [8]
であれば、[7]式の方が個人貯蓄率が低くなる。[8]式の左辺は、高齢化により1よりも小さいか、大きいにしても1をあまり上回らないと見込まれる。一方、右辺については、要介護状態発生率の前期比は1より大きいと考えられるものの、現役人口比率の前期比は高齢化により1より小さいと見込まれる。したがって、介護用貯蓄実施率ktが1よりかなり小さければ、右辺は1よりかなり大きくなって[8]式が成立し、老後世代のみが保険料を負担する場合の方が、現役世代も保険料を負担する場合より個人貯蓄率が低くなると見込まれる。

 また、公的介護保険の導入時τには、老後世代は、介護用貯蓄ストックのうち公的介護保険の導入によって不用となった部分kτ-1(a-qτa)を取り崩すから、τ期における老後世代の貯蓄sは、
s=-qτb-kτ-1(a-qτa)
と表わされる。したがって、τ期におけるマクロの個人貯蓄率SRτは、
  [9]
となり、公的介護保険によって個人貯蓄は減少する。

 [9]式と[5]式との差をとると、

となるから、
  [10]
であれば、[9]式の方が個人貯蓄率が低くなる。[10]式は[8]式と同じく、左辺は1よりも小さいか、大きいにしても1をあまり上回らず、右辺については、要介護状態発生率の前期比qt+1/qtが1より大きいものの現役人口比率の前期比は1より小さいと見込まれる。このため、介護用貯蓄実施率kが1/2よりかなり小さければ、右辺は1よりかなり大きくなって[10]式が成立し、老後世代のみが保険料を負担する場合の方が、現役世代も保険料を負担する場合より個人貯蓄率が低くなると見込まれる。
 以上のように、老後世代だけが保険料を負担する場合には、必ず公的介護保険によって個人貯蓄率は低下する。また、介護用貯蓄実施率が低ければ、現役世代も保険料を負担する場合に比べて、個人貯蓄率が低くなる可能性が高い。

3.日本における公的介護保険の個人貯蓄に対する影響

(1)要介護状態発生率と介護用貯蓄実施率の推定

前述のように、公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響は要介護状態発生率と介護用貯蓄実施率に依存するところが大きい。そこで、以下のようにこれらの率の推定を行った。

 要介護状態発生率は、「平成7年版厚生白書」(厚生省)の推計値に基づいて推定した。「平成7年版厚生白書」には、第1表のとおり、寝たきり、痴呆性の発生率について、5歳刻みの年齢階級別の推計値が示されている。これに、「日本の将来推計人口(1997年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)の年齢階級別人口の推計値を乗じて合計することによって将来の寝たきり・痴呆性高齢者数を推計した。しかし、寝たきり、痴呆性以外にも介護を必要とする高齢者は存在する。「平成7年版厚生白書」によれば、こうした虚弱高齢者の数は寝たきり・痴呆性高齢者の数とほぼ同じと見込まれるため、要介護高齢者数は寝たきり・痴呆性高齢者数の倍と推定し、それと、「日本の将来推計人口( 1997年1月推計)」による65歳以上人口推計値との比率として将来の要介護状態発生率を推定した。推定値は第2表のとおりである。

 介護用貯蓄実施率は、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度、郵政省郵政研究所)から求めた。同調査では、さまざまな貯蓄目的別に貯蓄の有無、貯蓄額等を調べており、その中で、介護用貯蓄(要介護状態になった時の出費に備えた貯蓄)についても尋ねている。そこで、61〜64歳の年齢層における介護用貯蓄有りという回答者の割合(「有り」と「無し」の合計に対する「有り」の比率)約0.18を介護用貯蓄実施率と想定した。61〜64歳の値を用いたのは、老後期間直前の時期であれば介護用貯蓄を行うつもりの者は介護用貯蓄ストックを保有しているはずと考えられるためである。若年層では、介護用貯蓄を行う意志があってもまだ貯蓄を始めていない可能性がある。たとえば、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度)によれば、40歳未満の年齢層の介護用貯蓄実施率は5%にすぎない。

(2)公的介護保険の給付水準の想定

 公的介護保険の個人貯蓄率への影響の大きさを求めるためには、公的介護保険の給付水準(保険給付の所得に対する比率a/y)を推計する必要がある。公的介護保険給付は、その導入前と導入後での介護のための自己負担の差と考えられる。

 まず、導入前については、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度)で、実際の介護のための自己負担額を尋ねており、平均で月額約4万円という回答になっている。「平成9年版厚生白書」(厚生省)に基づいて食費相当額を除く利用者負担を推定すると、特別養護老人ホーム、老人病院で月額約2万円、老人保険施設で月額約4万円であり、また、(財)長寿社会開発センター(1993)によれば、在宅介護の金銭的負担(家族の介護労働の帰属費用は除く。)は月額約3.4万円であることに比べ、「家計における 金融資産選択に関する調査」(1996年度)の回答はやや高い。これは、この回答額に社会保障制度外の介護サービスの利用額も含まれているためと考えられる。

 次に、導入後については、公的介護保険の利用者負担率は1割と見込まれるため、公的介護保険による財源に基づいて社会保障制度に係る介護サービスが整備され介護ニーズに対応できるようになるとすれば、介護費用の1割が自己負担額となる。この介護費用についても、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度)で、他人に介護してもらう場合の総費用を尋ねており、平均で月額約21万円という回答になっている。高齢者介護・自立支援システム研究会(1994)によれば、高齢者介護の社会的コスト(家族の介護労働の帰属費用を含む。)の総額は1993年で3.5 兆円、2000年で7.7兆円と推計されている。これと「平成7年版厚生白書」の要介護高齢者数の推計値200万人(1993年)、280万人(2000年)から、要介護高齢者1人当たりの介護費用は、1993年で月額約15万円、2000年で月額約23万円となることから、介護費用についても、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度)の回答はほぼ妥当なものと考えられる。

 以上より、介護のための自己負担は、公的介護保険導入前で月額約4万円、導入後で月額2万円強と推計されるため、両者の差としての公的介護保険給付は月額2万円弱と見込まれる。これと、1996年における「毎月勤労統計調査」(労働省)の現金給与月額約37万円と「家計調査」(総務庁)の税・社会保障負担率約15%から求めた可処分所得月額約31万円から、公的介護保険の給付水準a/yを6%と推計した。

(3)公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響

 現役世代と老後世代が保険料を負担する公的介護保険が今後のマクロの個人貯蓄率に及ぼす影響を推計すると、第3表のようになる。

 同表では、40歳未満の年齢層の介護用貯蓄実施率が低いこと等から40歳から64歳までを現役とし、また、65歳以降を老後として、「日本の将来推計人口(1997年1月推計)」に基づいて現役・老後期間比率及び現役・老後人口比率を推計した。ただし、現役世代はその中間年である52歳の者で代表し、それに合わせて、老後期間は13年後の65歳の平均余命で代表した。また、割引賃金前期比は、老後期間の中間年と現役期間の中間年との賃金比率(約25年分)を利子率で割り引いたものであり、「平成6年財政再計算」(厚生省)で想定された標準報酬上昇率年4.0%、利子率年5.5%に基づいて推定した。

 以上の現役・老後期間比率、現役・老後人口比率、割引賃金前期比から、[4]式の左辺に当たる割引経済成長率を導出した。一方、現役人口比率と非要介護人口比率を「日本の将来推計人口(1997年1月推計)」、「平成7年版厚生白書」に基づいて推計し、これらと(1)の要介護状態発生率と介護用貯蓄実施率から、[4]式の右辺に当たる介護関連比率を導出した。これに基づき、(2)の公的介護保険の給付水準a/yを用いて、[3]式によって公的介護保険によるマクロの個人貯蓄率の変化を推計した。さらに、現役・老後人口比率、賃金上昇率(1人当たり名目経済成長率)の低下によるマクロの個人貯蓄率の低下を公的介護保険が緩和する効果を推計した。

 第3表の推計結果をみると、現在は、[4]式の左辺に当たる割引経済成長率が1を超えているのに対し、右辺に当たる介護関連比率については、介護用貯蓄実施率がかなり低いものの要介護状態発生率はそれより小さく、また、現役人口比率も非要介護人口比率より小さいことから、1よりかなり小さくなっている。このため、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下するであろう。さらに、第2節で述べたような、公的介護保険導入時における介護用貯蓄ストックの取崩しを考えると、導入時には、公的介護保険によるマクロの個人貯蓄率の低下幅は一層大きくなり、0.6%程度と見込まれる。

 しかし、今後、割引経済成長率は現役・老後人口比率とともに大幅に低下していくのに対し、介護関連比率については、現役人口比率は低下していくものの要介護状態発生率が上昇するために、低下しないと見込まれる。このため、公的介護保険によるマクロの個人貯蓄率の低下幅は小さくなっていき、2050年過ぎからは、むしろ、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率が上昇するようになると予想される。

 また、公的介護保険は、現役・老後人口比率や賃金上昇率の低下によるマクロの個人貯蓄率低下を緩和するものと見込まれる。

 以上のように、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率は低下するが、その低下幅は小さくなっていき、高齢化のピーク時付近では、むしろ、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率が上昇するようになると見込まれる。

(4)老後世代のみが保険料を負担する場合

 老後世代のみが保険料を負担する場合に公的介護保険が今後のマクロの個人貯蓄率に及ぼす影響を推計すると、第4表のようになる。

 公的介護保険によるマクロの個人貯蓄率の低下幅は、現役世代も保険料を負担する場合に比べて大きくなっている。また、今後、現役・老後人口比率の大幅な低下に伴い、やはり、公的介護保険によるマクロの個人貯蓄率の低下幅は小さくなっていくと見込まれるが、現役世代も保険料を負担する場合ほどの変化はなく、将来、公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率が上昇するようになることもない。

 また、現役世代も保険料を負担する場合と同様に、公的介護保険は、賃金上昇率の低下によるマクロの個人貯蓄率低下を緩和すると見込まれるが、現役世代から老後世代への移転はないため、現役・老後人口比率の低下によるマクロの個人貯蓄率の低下を緩和する効果はない。

4.結論と留意事項

 公的介護保険の導入によって、現役時の介護用貯蓄の必要性が低下する一方で、老後に要介護状態になった場合の貯蓄取崩しの必要性も低下するが、現役世代の誰もが介護用貯蓄を行うのに対し、老後世代で要介護状態になって貯蓄を取り崩すのは一部だけであるから、現役世代の貯蓄減少の効果の方が大きく、公的介護保険によって個人貯蓄は減少するはずである。しかし、「家計における金融資産選択に関する調査」(1996年度)によれば、介護用貯蓄を行っている現役世代の割合は意外に少なく、要介護状態の発生率とあまり変わらない。したがって、現役世代の貯蓄減少の効果はあまり大きくはないため、公的介護保険によって個人貯蓄が減少するとは、必ずしもいえない。

 日本においては、公的介護保険の導入によって個人貯蓄率が低下するものの、今後、高齢化に伴い公的介護保険による老後世代の貯蓄取崩し減少の効果が大きくなっていくことから、公的介護保険による個人貯蓄率低下の程度は小さくなっていき、高齢化のピーク時付近では、むしろ、公的介護保険が個人貯蓄率低下を緩和すると見込まれる。また、公的介護保険は、現役・老後人口比率や賃金上昇率の低下による個人貯蓄率低下を緩和するものと見込まれる。

 現在は、経常収支の黒字が問題とされ、内需拡大が課題となっていることから、公的介護保険の導入によって個人貯蓄率が低下してもかまわないと考えられる。一方、将来については、高齢化により貯蓄不足が生じる可能性があるが、公的介護保険による個人貯蓄率低下の程度は小さくなっていくと見込まれる。したがって、日本においては、公的介護保険の導入による個人貯蓄率低下を通じた国民経済への悪影響はあまりないのではないかと思われる。

 ただし、これは介護用貯蓄のみについての結果であり、他の目的の貯蓄も考慮する必要がある。本稿では、介護用貯蓄の減少分はすべて消費されるものとしているが、一部他の目的の貯蓄に向かう可能性がある。また、本稿では、公的介護保険によって社会保障制度に係る介護サービスが整備され介護ニーズに対応できるようになるものとしているが、その十分な整備ができず、一部社会保障制度外の介護サービスで対応しなければならないために、公的介護保険導入後における介護のための自己負担が本稿の推計値よりも大きくなる可能性がある。これらの場合、公的介護保険による個人貯蓄率の低下幅は、本稿で推計したよりも小さくなる。

 一方、本稿では、今後も年齢階級別の要介護状態発生率が変わらないものとしているが、保険・医療・福祉政策の進展等に伴って、これが低下していく可能性がある。また、介護に対する意識の高まり等から、介護用貯蓄実施率が上昇する可能性がある。これらの場合、公的介護保険による個人貯蓄率の低下幅は、本稿で推計したよりも大きくなるであろう。1)


1)高齢化に伴う要介護状態発生率の上昇が保健・医療・福祉政策の進展等によって相殺され、将来も要介護状態発生率が変わらないと想定した場合や、介護用貯蓄実施率が今後の要介護状態発生率の上昇に比例して高まっていくと想定した場合には、将来も公的介護保険によってマクロの個人貯蓄率が低下し、その低下幅は、2060年においてそれぞれ0.1%、0.2%程度と見込まれる。




・ 第1表 要介護高齢者の発生率
(%)
80〜84
年齢階級65〜6970〜7475〜7985〜 
寝たきり(寝たきりかつ痴呆の者を含む)1.535.51020.5
要介護の痴呆性(寝たきり者を除く)00.511.53.5
(注)「平成7年版厚生白書」(厚生省)による。

第2表 要介護状態発生率の推定値

年 度
高齢者(65歳
以上)人口(千人)
要介護高齢者
人口(千人)
要介護状態
発生率(千人)
 1995
 1996
 1997
 1998
 1999
 2000
     
 2001
 2002
 2003
 2004
 2005
     
 2006
 2007
 2008
 2009
 2010
     
 2011
 2012
 2013
 2014
 2015
     
 2016
 2017
 2018
 2019
 2020
     
 2021
 2022
 2023
 2024
 2025
    
 2026
 2027
 2028
 2029
 2030
     
 2031
 2032
 2033
 2034
 2035
     
 2036
 2037
 2038
 2039
 2040
     
 2041
 2042
 2043
 2044
 2045
     
 2046
 2047
 2048
 2049
 2050
     
 2051
 2052
 2053
 2054
 2055
     
 2056
 2057
 2058
 2059
 2060
      18277
      19004
      19743
      20473
      21156
      21870
     
      22609
      23299
      23905
      24373
      25006
           
      25748
      26492
      27145
      27810
      28126
           
      28311
      29232
      30209
      31166
      31883
           
      32421
      32817
      33087
      33226
      33335
           
      33365
      33297
      33242
      33202
      33116
           
      32999
      32886
      32803
      32740
      32768
           
      32480
      32542
      32597
      32680
      32787
           
      32942
      33139
      33379
      33595
      33726
           
      33796
      33782
      33733
      33631
      33497
           
      33310
      33109
      32909
      32701
      32454
           
      32159
      31842
      31495
      31113
      30698
           
      30265
      29832
      29381
      28946
      28503
      2238
      2347
      2461
      2573
      2685
      2808
          
      2930
      3050
      3166
      3272
      3411
          
      3548
      3686
      3819
      3948
      4081
          
      4220
      4375
      4521
      4656
      4776
          
      4896
      5034
      5156
      5258
      5347
          
      5431
      5538
      5626
      5691
      5742
          
      5786
      5876
      5953
      6025
      6034
          
      6002
      6070
      6139
      6197
      6223
          
      6209
      6188
      6159
      6120
      6084
          
      6026
      5980
      5947
      5926
      5909
          
      5873
      5866
      5869
      5878
      5900
          
      5877
      5905
      5932
      5956
      5969
          
      5977
      5978
      5976
      5960
      5922
      0.12
      0.12
      0.12
      0.13
      0.13
      0.13
          
      0.13
      0.13
      0.13
      0.13
      0.14
          
      0.14
      0.14
      0.14
      0.14
      0.15
          
      0.15
      0.15
      0.15
      0.15
      0.15
          
      0.15
      0.15
      0.16
      0.16
      0.16
          
      0.16
      0.17
      0.17
      0.17
      0.17
          
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
          
      0.18
      0.19
      0.19
      0.19
      0.19
          
      0.19
      0.19
      0.18
      0.18
      0.18
          
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
          
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
      0.18
          
      0.18
      0.19
      0.19
      0.19
      0.19
          
      0.20
      0.20
      0.20
      0.21
      0.21

第3表 公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響
年 度現役・
老後
人口比率
割引経
済成長
率+1
介護関
連比率
要介護
状態
発生率
現役人
口比率
非要介
護人口
比率
公的介護
保険によ
る貯蓄率
の変化
貯蓄率低下の
公的介護保険
による緩和
現役・老後
人口比率
1低下
賃金上昇率
の1低下
 1998
 1999
 2000
     
 2001
 2002
 2003
 2004
 2005
     
 2006
 2007
 2008
 2009
 2010
     
 2011
 2012
 2013
 2014
 2015
     
 2016
 2017
 2018
 2019
 2020
     
 2021
 2022
 2023
 2024
 2025
     
 2026
 2027
 2028
 2029
 2030
     
 2031
 2032
 2033
 2034
 2035
     
 2036
 2037
 2038
 2039
 2040
     
 2041
 2042
 2043
 2044
 2045
     
 2046
 2047
 2048
 2049
 2050
     
 2051
 2052
 2053
 2054
 2055
     
 2056
 2057
 2058
 2059
 2060
  2.14
  2.07
  1.99
      
  1.92
  1.85
  1.81
  1.77
  1.73
      
  1.66
  1.61
  1.57
  1.53
  1.52
      
  1.53
  1.47
  1.41
  1.36
  1.32
      
  1.29
  1.28
  1.26
  1.26
  1.25
      
  1.25
  1.25
  1.25
  1.25
  1.25
      
  1.24
  1.24
  1.24
  1.23
  1.21
      
  1.21
  1.19
  1.17
  1.15
  1.12
      
  1.10
  1.07
  1.04
  1.01
  0.98
      
  0.97
  0.95
  0.94
  0.93
  0.93
      
  0.92
  0.92
  0.92
  0.92
  0.92
      
  0.92
  0.92
  0.93
  0.93
  0.94
      
  0.95
  0.96
  0.97
  0.98
  0.99
  1.24
  1.20
  1.16
      
  1.12
  1.08
  1.06
  1.04
  1.02
      
  0.98
  0.95
  0.92
  0.90
  0.90
      
  0.90
  0.87
  0.84
  0.81
  0.78
      
  0.77
  0.76
  0.75
  0.75
  0.74
      
  0.74
  0.74
  0.75
  0.74
  0.74
      
  0.74
  0.74
  0.74
  0.73
  0.72
      
  0.73
  0.72
  0.70
  0.69
  0.67
      
  0.66
  0.64
  0.62
  0.61
  0.59
      
  0.58
  0.57
  0.56
  0.56
  0.56
      
  0.55
  0.55
  0.55
  0.55
  0.55
      
  0.55
  0.55
  0.56
  0.56
  0.57
      
  0.57
  0.58
  0.58
  0.59
  0.59
  0.51
  0.51
  0.51
      
  0.51
  0.51
  0.51
  0.51
  0.52
      
  0.51
  0.51
  0.51
  0.51
  0.53
      
  0.54
  0.54
  0.53
  0.52
  0.52
      
  0.52
  0.52
  0.53
  0.54
  0.54
      
  0.55
  0.56
  0.57
  0.58
  0.59
      
  0.59
  0.60
  0.61
  0.62
  0.62
      
  0.62
  0.62
  0.62
  0.62
  0.62
      
  0.60
  0.59
  0.58
  0.56
  0.55
      
  0.54
  0.53
  0.53
  0.53
  0.53
      
  0.52
  0.53
  0.53
  0.53
  0.54
      
  0.54
  0.55
  0.56
  0.57
  0.58
      
  0.59
  0.61
  0.62
  0.63
  0.64
  0.13
  0.13
  0.13
      
  0.13
  0.13
  0.13
  0.13
  0.14
      
  0.14
  0.14
  0.14
  0.14
  0.15
      
  0.15
  0.15
  0.15
  0.15
  0.15
      
  0.15
  0.15
  0.16
  0.16
  0.16
      
  0.16
  0.17
  0.17
  0.17
  0.17
      
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
      
  0.18
  0.19
  0.19
  0.19
  0.19
      
  0.19
  0.19
  0.18
  0.18
  0.18
      
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
      
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
  0.18
      
  0.18
  0.19
  0.19
  0.19
  0.19
      
  0.20
  0.20
  0.20
  0.21
  0.21
  0.68
  0.67
  0.67
      
  0.66
  0.65
  0.64
  0.64
  0.63
      
  0.62
  0.62
  0.61
  0.60
  0.60
      
  0.60
  0.60
  0.59
  0.58
  0.57
      
  0.56
  0.56
  0.56
  0.56
  0.56
      
  0.55
  0.56
  0.56
  0.55
  0.55
      
  0.55
  0.55
  0.55
  0.55
  0.55
      
  0.55
  0.54
  0.54
  0.53
  0.53
      
  0.52
  0.52
  0.51
  0.50
  0.50
      
  0.49
  0.49
  0.48
  0.48
  0.48
      
  0.48
  0.48
  0.48
  0.48
  0.48
      
  0.48
  0.48
  0.48
  0.48
  0.49
      
  0.49
  0.49
  0.49
  0.49
  0.50
  0.94
  0.94
  0.94
      
  0.94
  0.94
  0.93
  0.93
  0.93
      
  0.93
  0.93
  0.93
  0.93
  0.92
      
  0.92
  0.92
  0.92
  0.92
  0.92
      
  0.92
  0.92
  0.92
  0.91
  0.91
      
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
      
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
      
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
  0.91
      
  0.91
  0.91
  0.90
  0.90
  0.90
      
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
      
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
      
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
      
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
  0.90
 -0.562%
 -0.230%
 -0.222%
        
 -0.213%
 -0.205%
 -0.198%
 -0.192%
 -0.184%
        
 -0.175%
 -0.167%
 -0.160%
 -0.153%
 -0.148%
        
 -0.143%
 -0.135%
 -0.128%
 -0.121%
 -0.115%
        
 -0.109%
 -0.103%
 -0.098%
 -0.093%
 -0.089%
        
 -0.085%
 -0.079%
 -0.075%
 -0.072%
 -0.069%
        
 -0.066%
 -0.061%
 -0.056%
 -0.051%
 -0.048%
        
 -0.048%
 -0.042%
 -0.037%
 -0.031%
 -0.028%
        
 -0.025%
 -0.024%
 -0.022%
 -0.021%
 -0.020%
        
 -0.020%
 -0.019%
 -0.018%
 -0.017%
 -0.016%
        
 -0.015%
 -0.013%
 -0.011%
 -0.009%
 -0.006%
        
 -0.005%
 -0.001%
  0.002%
  0.005%
  0.008%
        
  0.011%
  0.014%
  0.017%
  0.019%
  0.020%
   0.01%
   0.01%
   0.01%
        
   0.01%
   0.01%
   0.01%
   0.01%
   0.01%
        
   0.01%
   0.01%
   0.01%
   0.01%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.02%
        
   0.02%
   0.02%
   0.02%
   0.01%
   0.01%
   0.12%
   0.12%
   0.11%
        
   0.11%
   0.11%
   0.11%
   0.11%
   0.11%
        
   0.11%
   0.10%
   0.10%
   0.10%
   0.10%
        
   0.10%
   0.10%
   0.10%
   0.10%
   0.10%
        
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
        
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
        
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
        
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
   0.09%
        
   0.09%
   0.09%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
        
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
        
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
        
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
        
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
   0.08%
(注)現役・老後期間比率は約1.2、割引賃金前期比は約0.71、公的介護保険給付水準は6%、介護用貯蓄実施率は0.18と推定した。

第4表 公的介護保険が個人貯蓄に及ぼす影響
   (老後世代のみが保険料を負担する場合)
年 度現役・
老後
人口比率
割引経
済成長
率+1
公的介護
保険によ
る貯蓄率
の変化
賃金上昇率
が1低下し
た場合の
貯蓄率低下
の公的介護
保険による
緩和
 1998
 1999
 2000
     
 2001
 2002
 2003
 2004
 2005
     
 2006
 2007
 2008
 2009
 2010
     
 2011
 2012
 2013
 2014
 2015
     
 2016
 2017
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(注)現役・老後期間比率は約1.2、割引賃金前期は約0.71、公的介護保険給付水準は6%、介護用貯蓄実施率は0.18と推定した。