客員研究官(多摩大学助教授) 中村 有一
最近、郵政研究所において行われた大規模な調査により、東京圏における情報交流の実態が明らか にされようとしている。本論は、この調査データを用いてさまざまな視点から分析を行い、基本的な 知見を整理したものである。分析の結果、地域間の情報交流は、メディアの特性、都市化の程度、地 域間距離などにより規定されている様子が明らかになった。 情報交流のパターンは、その目的から仕事上と仕事以外という2つのタイプに分けられる。仕事上 では都心の比重が高いのに対して、仕事以外では都心を取り巻く郊外の比重が高くなる。メディアに よる違いは、この目的による違いよりも小さく、通話とFAXは相似関係にある。 距離との関係については、エントロピー・モデルにより、情報交流のモデル化を試みた。また、 「拡散距離」という指標を導入することにより、都市圏の広がりをとらえることが可能となった。