郵政研究所月報

2002.2

シリーズ

シリーズ「電子政府を支える情報通信基盤技術」第2回

ネットワークとハブシステム(前編)


KDDI株式会社 執行役員技術開発副本部長  村上 仁己


[要約]
 電子政府を支えるネットワークは、霞ヶ関WANのような国のネットワークや地方自治体のネットワークが、ネットワークハブセンタ(インターネットを想定するならインターネットエクスチェンジセンタが対応、IXセンタ)と呼ばれるネットワーク間の通信をコントロールするセンタを中心に接続、発展していくと考えられる。日本各地に情報の流れを制御するネットワークハブセンタが設置され、このハブにそれぞれの地方自治体ネットワークやその他の関係するネットワークが接続されることになる。これらは、現在の国、都道府県・政令市庁都市、市町村といった行政の階層構造に沿った形でネットワーク及びハブセンタが整備される。このように電子政府では、官庁や地方公共団体を接続する通信ネットワーク及びそれらを結びつけるハブ(IX)が重要な役割を担っている。
 通信ネットワークについては、デジタル蓄積技術の発達、パソコン等のコンピュータ機器の普及、パソコン間を結ぶインターネット通信の普及等によって、市場のニーズは、これまでの電話だけの通信から多様な情報を含むブロードバンド化の方向に向かっている。このような時代における電子政府においても、ネットワークに要求される技術としては、一つには大量の情報(別の言葉でいえば、コンテンツ)を低コストで即時に伝送できる伝送技術であり、また一つにはコンピュータ間通信を主流としたネットワークのインテリジェント化である。光通信技術、移動体通信技術、インターネット・マルチメディア等の技術が重要である。本稿では、電子政府を支えるネットワークシステムとネットワークを結びつけるハブシステムの技術的側面について説明する。前編ではアクセス系技術、基幹伝送路技術(バックボーン)を、後編ではインターネット技術、インターネットエクスチェンジ技術を取り上げ、具体的に説明する。


全文 ネットワークとハブシステム(前編)