「日本経済中期見通し」において予測した我が国の実質経済成長率と整合性を持たせ、2002年から2004年度までの12郵政局管内別実質成長率を予測した。尚、県民経済計算は1999年度が直近判明分であるため、2000年度と2001年度については推定している。各地域毎の経済見通しの概要は以下の通りである。
1.北海道
域内生産に占める食料品工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資は、弱含もう。民間住宅投資は、2001年度に大幅なマイナスとなったが、2002年度は回復が見込まれる。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度+0.8%、2003年度−0.6%、2004年度+0.3%と、2003年度以降、全国を下回る伸びが予測される。
2.東北
域内生産に占める電気機械工業のウェイトが高い。情報関連機器の需要が弱含むと見込まれることから、2002年度の民間設備投資は低調に推移しよう。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度0.0%、2003年度−0.4%、2004年度+1.6%と、2003年度まで全国を下回る伸びが予測される。
3.関東
域内生産に占める電気機械工業と化学工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資は大幅なマイナスとなろう。域内経済で公共事業のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の影響は限定的であろう。民間最終消費と政府最終消費が成長率を下支えするものと見込まれる。
実質GDP成長率は、2002年度−1.3%、2003年度+2.7%、2004年度+1.1%と、全国を上回る伸びが予測される。
4.東京
住宅建築の都心部回帰の流れが続くことから、2002年度の民間住宅投資は底固い推移を示そう。都心部再開発関連投資が下支え役となり、2002年度の民間企業設備投資についても他地域に比べて堅調となろう。域内経済で公共事業のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の影響は限定的であろう。
実質GDP成長率は、2002年度+2.2%、2003年度+0.3%、2004年度+0.3%となろう。
5.信越
域内生産に占める電気機械工業のウェイトが高い。情報関連機器の需要が弱含むと見込まれることから、2002年度の民間企業設備投資は低調に推移しよう。公共事業の削減が、2003年度の成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度+0.5%、2003年度+0.6%、2004年度+1.3%と、全国と同水準の伸びが予測される。
6.北陸
2002年度と2003年度の民間住宅投資は連続してマイナスとなろう。2002年度以降、公共事業の削減が成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度+0.3%、2003年度+1.5%、2004年度+0.7%と、全国と同程度の伸びが予測される。
7.東海
域内生産に占める自動車工業のウェイトが高い。自動車産業の設備投資が下支えするため、2002年度の民間設備投資は若干のマイナスに留まろう。自動車輸出が期待できる。域内経済で公共事業のウェイトは他地域ほど大きくないため、公共事業削減の影響は限定的であろう。
実質GDP成長率は、2002年度+1.1%、2003年度+2.0%、2004年度+0.2%と、全国を上回る伸びが予測される。
8.近畿
域内生産で、一般機械工業や電気機械工業のウェイトのバランスがとれている。他の地域に比較して、情報関連機器の需要低迷の影響はやや少ない。中小企業の収益不振から、2002年度の設備投資は前年度とほぼ横這いとなろう。
実質GDP成長率は、2002年度+0.2%、2003年度+1.6%、2004年度+0.2%と、全国と同水準の伸びが予測される。
9.中国
域内生産に占める化学工業と鉄鋼業のウェイトが高い。いずれも、生産能力設備調整を行っているため、2002年度の民間設備投資は、減少しよう。民間住宅投資は2003、2004年度とプラス成長が見込まれるものの、大都市圏に比べてその勢いは弱い。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は2002年度−0.4%、2003年度+1.1%、2004年度−0.2%と、全国を下回る伸びが予測される。
10.四国
域内生産に占める紙パルプ工業や化学工業等、素材業種のウェイトが高い。これらの業種で生産体制の再構築が進んでいることから、民間設備投資は、2002年度から2004年度まで低迷しよう。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度−1.4%、2003年度+0.9%、2004年度+0.8%と、全国を下回る伸びが予測される。
11.九州
域内生産に占める食料品工業と電気機械工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資はマイナス成長となろう。民間住宅投資は2002年度もマイナスとなるが、2003年度以降は回復しよう。域内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度+0.0%、2003年度+1.0%、2004年度+0.7%と、全国と同水準の伸びが予測される。
12.沖縄
域内経済で、観光を中心とするサービス業のウェイトが高い。製造業では、食品工業と石油製品工業のウェイトが高い。2002年度の民間設備投資が大幅減少となり、2002年度の民間住宅投資もマイナスとなろう。管内経済でウェイトの大きい公共事業は削減傾向にあり、2003年度は大幅マイナスとなり、成長率を押し下げよう。
実質GDP成長率は、2002年度−1.9%、2003年度−0.2%、2004年度+1.5%と、全国を下回る伸びが予測される。
|