欧州経済
総合指標でみる景気の現状

 

 

○ドイツ:緩やかな回復、フランス:回復、イギリス:拡大

 

《ポイント》

【ドイツ】

 97年7−9月期の実質GDP成長率(統一ドイツベース)は、 前期比+0.8%と6四半期連続のプラスとなり、 景気の緩やかな回復を示唆した(前年同期比+2.3%)。需要項目別にみると、 内需では、 機械設備投資と在庫投資が2四半期ぶりにプラス寄与に転じた一方、 個人消費が2四半期ぶりにマイナスに転じ(寄与度−0.6%)、 内需全体の寄与度は+0.1%にとどまった。 これに対し、 外需は、 輸出の好調が続いて輸入の伸びを上回ったため寄与度+0.7%となり、 外需主導の緩やかな回復を裏付けた。

【フランス】

 97年7−9月期の実質GDP成長率は、 前期比+0.9%と5四半期連続のプラスとなり、 景気回復の持続を示唆した(前年同期比+2.7%)。需要項目別では、 輸出を上回る輸入の伸びから外需が寄与度 −0.3%と5四半期ぶりにマイナスとなったが、 前期まで3四半期続けて低調だった個人消費の拡大(寄与度+0.7%)や固定資本投資の拡大(同+0.3%)から、 内需が同+1.2%と回復の兆しをみせた。

【イギリス】

 97年7−9月期の実質GDP成長率は、 前期比+0.8%と21四半期連続のプラスとなり、 景気拡大の持続を示した(前年同期比+3.9%)。需要項目別にみると、 固定資本投資が寄与度−0.2%と4四半期ぶりにマイナスに転じたものの、 景気拡大を牽引している個人消費が寄与度+0.7%と好調を持続したほか、 在庫投資も同+0.1%となった(7−9月期の外需の内訳は未発表)。

(出所:独連邦統計庁、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)

【解説:ドイツ経済】

ドイツ経済は緩やかに回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。

10月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産(除く建設)が夏休み後ずれ要因の剥落もあって前月比 +1.8%と3か月ぶりに上昇したほか、7か月ぶりに低下したIFO景況指数(旧西独地域)も同−0.3%ポイントと小幅低下にとどまり、製造業新規受注も前年同月比+6.1%と13か月連続で前年を上回った。

需要関連の指標を内外需別にみると、内需では、設備投資の先行指標とみられる国内資本財新規受注が10月に前年同月比+0.5%と2か月連続で前年を上回るなど回復の兆しをみせている。しかしながら、11月の失業率が前月と同様11.8%と東西統一後最悪水準にある中で、9月の小売売上数量が同−1.0%と3か月連続で前年割れとなるなど、個人消費は盛り上がりに欠ける状態が続いている。これに対し、外需は好調を持続しており、9月の貿易黒字が148億マルクと15か月連続で前年を上回ったほか、10月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+10.6%と20か月連続で前年を上回った。

他方、物価面では、10月の消費者物価が前年同月比+1.8%、また、生産者物価も同+1.2%とそれぞれ2か月連続で上昇幅を縮小させた。