月例経済概観


米国経済
総合指標でみる景気の現状

実質GDP成長率・・・7ー9月期は前期比年率+3.5%
実質GDP需要項目別寄与度        実質GDP需要項目別伸び率の推移
《ポイント》

  • 米国の7−9月期の実質GDP速報値は、前期比年率+3.5%と、96年10−12月期以降4四半期連続で3%を上回る堅調な拡大を記録した。一方、GDP価格指数は同+1.4%の低い伸びとなり物価の安定を示唆した。
  • 7−9月期の伸びを需要項目別にみると、個人消費は、前期比年率+5.7%と高い伸びを示し、寄与度でみても同+3.8%ポイントと最大の成長押上げ要因となった。設備投資は好調な企業収益等を背景に前期比年率+18.7%と2四半期連続で2けたの伸びを記録し、住宅投資は住宅抵当金利の低下等を反映して3四半期連続でプラス寄与となり、政府支出も2四半期連続でプラス寄与となった。一方、純輸出は、輸入が内需好調を背景に3四半期連続で2けたの伸びを記録したため3四半期連続でマイナス寄与となった。
(出所:商務省 10月31日発表)

 【解 説】

米国経済は拡大している。97年7-9月期の実質GDP速報値は、前期比年率+3.3%と96年10-12月期以降4四半期連続で3%を上回る拡大が続いている。 <p> 10月の製造業の景気実態を表すNAPM(全米購買部協会)景気総合指数は、56.0と前月の54.2から1.8ポイント上昇し、17か月連続で分岐点の50を超えている。 <p> 需要面では、9月の小売売上高は、前月比+0.3%と4か月連続で増加し、7-9月期でみても前期比で+2.2%増加している。9月の住宅着工件数は前月比+7.9%の年率換算150.0万戸と3か月ぶりに150万戸台を回復した。設備投資の先行指標とされる9月の非軍需資本財受注(航空機を除く)も、前月比+6.7%と2か月ぶりに増加した。一方、生産面では、9月の鉱工業生産指数は前月比+0.7%と14か月連続で上昇した。 <P> 8月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季調値)の赤字幅は、前月比+3.4%の103.6億ドルと2か月連続で100億ドルを上回った。地域別貿易収支(通関ベース、原計数)では、対中貿易赤字が51.6億ドルとなり、対日赤字を2か月ぶりに上回り国別赤字トップとなった。 <P> 雇用面では、9月の非農業部門雇用者数は、前月比+21.5万人と増加幅が拡大した。四半期ベースでみると、7−9月期の雇用者数の伸びは月平均+21.3万人と96年10−12月期以降4四半期連続で20万人を上回る増加が続いている。失業率は4.9%と前月と同水準となり3か月連続で5%台を下回った。 この間、物価面では、9月の消費者物価は前月比+0.2%の上昇を記録し、前年比でみても+2.2%と2%前半で安定的に推移している。  

消費

 〇個人消費(実質GDPべース)…7-9月期は、前期比年率+5.7%
《ポイント》
  • 最大の需要項目である個人消費は、前期比年率+5.7%と高い伸びを記録し、寄与度も同+3.8%ポイントに拡大した。
  • 項目別にみると耐久財が自動車等の増加から前期比年率+16.7%、非耐久財が食品・衣料の増加で同+4.7%といずれも増加した。

設備投資

〇設備投資(実質GDPべース)…7-9月期は、前期比年率+18.7%
《ポイント》
  • 設備投資は、前期比年率+18.7%と2四半期連続で2けたの伸びを記録し、寄与度は+2.1%ポイントと23四半期連続でプラス寄与を記録した。
  • 項目別にみると、全体の約4分の1を占める建設投資が前期比年率+10.1%、約4分の3を占める機械設備投資も同+22.1%とそれぞれ2けたの伸びを記録した。

住宅投資

〇住宅投資(実質GDPべース)…7-9月期は、前期比年率+2.8%
《ポイント》
  • 住宅投資は、前期比年率+2.8%と住宅抵当金利の低下等を背景に3四半期連続で増加した。
  • 項目別にみると、全体の約2分の1を占める一戸建てが前期比年率−0.7%と2四半期ぶりに減少したが、その他の住宅投資は同+6.7%と3四半期連続増加した。