欧州経済
総合指標でみる景気の現状

 

 

○ドイツ:回復、フランス:回復、イギリス:拡大

<欧州主要各国の鉱工業生産指数の推移(左図:四半期ベース 右図:月次ベース)>

 

  (注)ドイツは91年平均=100、フランスおよびイギリスは90年平均=100とした指数

《ポイント》

【 】

 景気は回復している。11月のIFO景況指数(旧西独地域)は2か月連続での低下ながら99.1と7−9月平均(99.0)を上回る水準となったほか、11月の鉱工業生産(除く建設)も前月比+0.6%となった。ただし、12月の失業率が統一後最高の11.9%となるなど厳しい雇用環境が続いている。

【フランス】

 景気は回復している。外需は、10月の貿易収支が184億フランの黒字と高水準を持続しているほか、10月の鉱工業生産(除く建設)も前月比+3.3%の107.3と既往最高を更新した。また、11月の工業品家計消費が前年同月比+3.1%と2か月連続で前年を上回るなど個人消費にも回復の兆しがみられる。ただ、11月の失業率が12.4%と過去最悪(6月:12.6%)に近い水準に留まるなど、雇用環境はなお厳しい。

【イギリス】

 景気は拡大している。鉱工業生産が緩慢な拡大テンポながら11月には109.5と高水準にあるほか、景気を牽引している個人消費も11月の小売売上数量が前年同月比+4.8%と引き続き好調に推移している。また、11月の失業率も景気好調を反映して5.1%と一段と低下し、17年ぶりの低水準となった。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)

【解説:ドイツ経済】

ドイツ経済は回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。

11月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産、IFO景況指数(旧西独地域)とも堅調な動きとなったほか、製造業新規受注も前年同月比+6.1%と14か月連続で前年を上回った。

需要関連の指標を内外需別にみると、内需については、設備投資の先行指標とみられる国内資本財新規受注が10月に前年同月比−0.8%と3か月ぶりに前年割れとなったほか、消費面でも、10月の小売売上数量が同−0.5%と4か月連続で前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。これに対し、外需は好調を持続しており、10月の貿易黒字が109億マルクと高水準を持続したほか、11月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+9.6%と21か月連続で前年を上回った。

他方、物価面では、11月の消費者物価が前年同月比+1.9%と若干ながら2か月ぶりに上昇幅を拡大したが、生産者物価は同+1.2%と前月と同水準になるなど、総じて落ち着いた動きとなっている。