月例経済概観


欧州経済
総合指標でみる景気の現状

〇ドイツ:回復、フランス:回復、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向
<欧州主要各国の鉱工業生産指数の推移(左図:四半期ベース 右図:月次ベース)>


(注)ドイツは91年平均=100、フランスおよびイギリスは90年平均=100とした指数


 《ポイント》
【ドイツ】
 景気は回復している。12月のIFO景況指数(旧西独地域)が99.6と3か月ぶりに上昇したほか、12月の鉱工業生産(除く建設)も前月比+0.5%と上昇した。ただ、雇用については、12月の失業率が小幅低下ながら11.6%と統一後最高(10〜12月の11.8%)に近い水準にあるなど引き続き厳しい環境にある。
【フランス】
 景気は回復している。外需は、11月の貿易収支が105億フランの黒字と3か月連続で前年を上回り、11月の鉱工業生産(除く建設)も105.5と既往2番目の高水準にある。また、12月の工業品家計消費が前年同月比+5.2%と3か月連続で前年を上回るなど個人消費も回復し始めている。ただし、11月の失業率が12.2%と高水準に留まるなど、雇用環境はなお厳しい。
【イギリス】
 景気は拡大しているが、拡大テンポは鈍化している。12月の小売売上数量が前年同月比+5.3%と引き続き好調に推移するなど、個人消費を中心に拡大を続けており、12月の失業率も5.0%と一段と低下して17年ぶりの低水準となった。しかしながら、鉱工業生産が12月には5か月連続で前月を下回るなど、拡大テンポはこのところ鈍化しつつある。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局、2月6日発表)



【解説:ドイツ経済】
 ドイツ経済は回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。

 12月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産、IFO景況指数(旧西独地域)とも堅調な動きとなったほか、製造業新規受注も前年同月比+6.5%と15か月連続で前年を上回った。

 需要関連の指標を内外需別にみると、内需については、設備投資の先行指標とみられる国内資本財新規受注が、12月に前年同月比−2.4%と2か月連続で前年割れとなったほか、消費面でも、11月の小売売上数量が同−5.0%と5か月連続で前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態がつづいている。これに対し、外需は好調を持続しており、11月の貿易黒字が131億マルクと高水準を持続したほか、12月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+13.2%と22か月連続で前年を上回った。

 他方、物価面では、12月の消費者物価が前年同月比+1.8%と若干ながら2か月ぶりに上昇率を縮小したほか、生産者物価の上昇率も同+1.1%と前月より鈍化するなど、総じて落ち着いた動きとなっている。