月例経済概観


金融市場
国内金利
  • 1月上旬および中旬の無担保コール翌日物金利は、日銀が大幅な緩め調節を継続したことから、積み最終日(14日)にかけてはやや強含んだものの、0.3-0.4%台で安定的に推移した。下旬になると、月末に向けた資金需要や昨年末越え資金の期落ちを翌日物で借り替える動きなどから金利上昇圧力は増したが、日銀は朝方の積み上を3兆円台に増やすなど資金供給姿勢を強め、金利は0.43-0.48%で推移した。  (無担保コール翌日物加重平均金利:0.48% 1月30日現在)
  • 1月のCD3か月物金利は、上旬から中旬にかけては0.73-0.75%で出合いがみられた。しかし下旬に入ると、投資家が信用リスク不安などを背景に3月期末超えの資金運用に慎重になったこと、銀行の貸し渋りの影響から運用サイドの金融機関で貸出が増加し運用余資が減少したこと、一方の調達サイドでは様子見の動きが拡がったこと、また日銀のCPオペ増加などを背景としてCP市場への資金シフトが生じたこと、などの諸要因から、気配値は上昇しつつも出合いがみられない状況が続いた。  (CD3か月物金利:1.05% 2月3日現在)
  • 1月上旬の国債指標銘柄利回りは、海外金利の低下などから史上最低利回りを更新し1.560%まで低下し、その後は根強い買い意欲と追加的景気対策への警戒感から1.600%を挟んでもみ合った。中旬からは、株価の上昇を受けて強含み、さらに下旬に入って追加的景気対策をめぐる要人発言の報道や株価の続騰から、一時1.865%まで上昇した。その後は株価の一服感などから低下した。

    (国債指標銘柄利回り東証終値:1.765% 1月30日現在)



国内株式
  • 1月上旬の株価は、追加的景気対策への期待感から一時的に上昇した場面もあったが、アジア市場の動揺や円安等から外国人投資家売りへの警戒感が高まり概ね15,000円前後でもみ合った。
  • 中旬は、アジア市場の動揺やNYダウの大幅下落等から14,664.44円の昨年来最安値を付けた。その後、相次ぐ要人発言から追加的景気対策への期待感が高まり、外国人投資家が積極的な投資姿勢に転換したことから需給が好転し、2年1か月ぶりの6日連続上昇となり16,600円台に乗せた。
  • 下旬は、上げ一服後、追加的景気対策への期待感が一段と強まり12月2日以来の17,000円台を回復した。その後、追加的景気対策の実現の遅れが一時懸念されたが、小幅反落に留まった。月末にかけて、急ピッチな上昇への警戒感からこれまで買われてきた低位株中心に利益確定売りが出て17,000円を割り込んだ。

     (日経平均株価終値:16,628.47円 1月30日現在)



為  替
  • 1月上旬のドル・円相場は、アジア通貨の下落などを受け132円台から134円台まで上昇したが、その後政府高官の欧米訪問を背景に協調介入への警戒感などから130-133円台で乱高下した。
  • 中旬は、アジア・日本株の回復や、アジア経済危機への対応を好感してじりじり値を下げた。その後追加的景気対策への期待感から日経平均が大幅に上昇したことを受け、一時127円台まで下落したが、買い戻しなどから129円台まで反発した。
  • 下旬は、追加的景気対策をめぐる政府要人発言の報道などから125円台に下落、さらに米大統領の偽証強要疑惑なども材料に124円台まで値を下げたが、月末に買い戻され127円台まで反発した。

      (ドル・円レート東京終値:127.32-35円 1月30日)



米国金融
  • 1月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、FRB議長発言から金融引締め観測が後退し低下した。中旬は質への逃避買いから過去最低水準(12日、5.685%)を更新した後、利食い売り等から上昇した。下旬は大統領の偽証強要疑惑を受けて上昇した後、FRB議長が米国経済の緩やかな減速を示唆したため低下した。

    (30年物国債利回り終値:5.794% 1月30日現在)

  • 1月上旬のNYダウは、アジア経済の混乱による米国企業業績への先行き懸念が強まり過去4番目の下げ幅(9日、前日比−222.20ドル)を記録した。中旬はアジア金融市場に安定化の兆候が表れたことを手掛りに反発した。下旬は金融引締め観測の後退や長期金利の低下を好感して7,900ドル台を回復した。

    (NYダウ終値:7,906.50ドル 1月30日現在)



原  油
  • 1月上旬のWTI原油先物価格は、17.43ドルで始まったが、イラクの限定的原油輸出が再開されたことや、OPEC諸国からの供給過剰、アジア地域の需要減少懸念、北米の暖冬傾向などによる需給緩和から16.63ドルまで下落した。
  • 中旬は、引き続き下落したものの、イラクが国連武器査察団の活動を拒否し、緊張が高まったことなどが下支えとなり、16.40ドル前後で小動きとなった。
  • 下旬は、OPEC諸国が減産する可能性が少ないこと、米石油協会統計での原油在庫の急増、暖冬予報による暖房油の下落などから94年4月以来の安値である15.74ドルまで下落した。その後、米国によるイラク攻撃の懸念が高まり一時17.82ドルまで上昇した。

    (WTI原油期近物終値:17.21ドル 1月30日現在)