月例経済概観


欧州経済
総合指標でみる景気の現状

○ドイツ:引き続き回復、フランス:回復から拡大へ、イギリス:拡大テンポが鈍化

 《ポイント》

【ドイツ】
 97年10−12月期の実質GDP成長率(統一ドイツベース)は、7四半期連続プラスの前期比+0.3%と、景気回復の持続を示唆した(前年同期比+2.3%)。需要項目別にみると、建設投資が2四半期ぶりに、政府消費が2四半期連続で減少したが、機械設備投資と在庫投資が2四半期連続で、個人消費が2四半期ぶりにプラスとなり、内需の寄与度は+0.6%と2四半期ぶりにプラスとなった。 他方、外需は、前期拡大した輸出が伸びを低め、輸入の伸びを下回ったため、寄与度−0.4%と3四半期ぶりにマイナスに転じた。
【フランス】
 97年10−12月期の実質GDP成長率は、6四半期連続プラスの前期比+0.8%と、景気が拡大局面に転じていることを示唆した(前年同期比+3.2%)。需要項目別では、個人消費の4四半期連続の拡大(寄与度+0.4%)や在庫投資の拡大(同+0.1%)から、内需が寄与度+0.6%と3四半期連続で拡大し、外需が輸入の伸び一服から同+0.2%と2四半期ぶりに拡大した。1月の失業率は12.1%と3か月連続で低下した。
【イギリス】
 97年10−12月期の実質GDP成長率は、 22四半期連続プラスの前期比+0.4%となり、 景気拡大の持続を示した(前年同期比+3.0%)が、 拡大テンポは前期(+0.9%)よりも鈍化した。需要項目別にみると、 景気拡大を牽引している個人消費が寄与度+0.8%と好調を持続したほか、 在庫投資も同+0.3%となるなど、 内需の寄与度は+1.3%となった(10−12月期の外需の内訳は未発表)。

(出所:独連邦雇用庁、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)



【解説:ドイツ経済】

 ドイツ経済は回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。

 生産関連の指標をみると、1月には、高水準にある鉱工業生産(除く建設)が前月比+2.3%と拡大したほか、IFO景況指数(旧西独地域)も同−0.3%ポイントと小幅低下にとどまり、製造業新規受注も前年同月比+8.8%と16か月連続で前年を上回った。

 需要関連の指標を内外需別にみると、内需では、設備投資の先行指標とみられる国内資本財新規受注が1月には大口受注から前年同月比+13.0%と3か月ぶりに前年を上回ったが、 失業率が2月には統一後最悪水準(10〜12月の11.8%)を若干下回る11.5%と高止まる中で、12月の小売売上数量が同−1.4%と2か月連続で前年割れとなるなど、個人消費は盛り上がりに欠ける状態が続いている。これに対し、外需は好調を持続しており、12月の貿易黒字が123億マルクと2か月連続で前年を上回ったほか、1月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+9.1%と23か月連続で前年を上回った。

 他方、物価面では、1月の消費者物価が前年同月比+1.3%、また、生産者物価も同+0.7%とそれぞれ2か月連続で上昇幅を縮小させるなど、落ち着いた動きを続けている。

(3月9日記)