月例経済概観


金融市場
国内金利
  • 2月の無担保コール翌日物金利は、0.38-0.47%台で安定的に推移した。税揚げのある4日や月末などは金利上昇圧力が増したが、日銀は潤沢な資金供給により金利上昇を抑制した。積み最終日(13日)も、積み進捗が順調だったことから、金利の上昇は小幅にとどまった。
     (無担保コール翌日物加重平均金利:0.47% 2月27日現在)
  • 2月上旬のCD3か月物金利は、先月来のターム物金利上昇の流れを受け、3日に前回出合い(1/14、0.73%)を大幅に上回る1.05%で出合った。その後下旬まで、信用リスク不安、投資信託会社などが期末越えの資金運用に慎重なこと、などから出合いにくい状況が続き、金利(気配値)も高止まったまま推移した。しかし下旬に入ると、日銀が期末越え資金を潤沢に供給したことや資金取り需要が1−2か月物に移ったことなどから、3か月物金利は低下し、月末には17営業日ぶりに前回を大きく下回る0.83%で出合った。
     (CD3か月物金利:0.83% 2月27日現在)
  • 2月上旬の国債指標銘柄利回りは、要人発言を踏まえた追加的景気対策への思惑や堅調な株価などから、一時1.820%まで上昇したが、その後上中旬を通じて、材料不足で小動きに推移しつつ、堅調な需要を背景に1.6%台前半までじりじりと低下した。下旬に入ると、G7の結果を受け財政出動を伴う経済対策の有無をめぐって思惑が交錯し、財政出動に否定的な観測から1.585%まで低下した後、要人発言などで1.6%台半ばまで上昇した。

    (国債指標銘柄利回り東証終値:1.660% 2月27日現在)



国内株式
  • 2月上旬の株価は、要人発言を踏まえた追加的経済対策への期待感から買い安心感が広がり、低位大型株が堅調に推移した。一方、国際優良株中心に戻り売りや持ち合い解消の売りが出て、17,000円を挟んだもみ合いの展開となった。
  • 中旬は、米国政府高官の発言をきっかけに追加的経済対策への期待感が後退し、17,000円を割り込んだ。低位株の利益確定売りがかさむ半面、下値では年金資金等の優良株の押目買いが入るという構図が続き16,700円前後でもみ合った。
  • 下旬は、企業業績の下方修正の発表が相次ぎ、景況感が悪化したことから大幅に下落し、一時16,000円台を割り込む場面もあった。その後、財政出動を伴う経済対策に前向きと受けとめられる要人発言を受け、市場センチメントが好転し、株価は16,800円台まで上昇した。

     (日経平均株価終値:16,831.67円 2月27日現在)



為  替
  • 2月上旬のドル・円相場は、要人発言を踏まえた追加的景気対策期待、アジア経済先行き懸念の後退などを端緒にしてじりじりと下落し、海外市場では一時122円台に達したが、イラク情勢の緊張などから124円台まで買い戻された。
  • 中旬は、投機的な動きから122-124円台でもみ合い、さらにイラク情勢などからレンジを上げ126円前後でもみ合ったが、自民党の経済対策に減税が盛り込まれなかったことなどから127円台まで上昇した。
  • 下旬は、G7の結果を受け、財政出動を伴う経済対策の有無をめぐり、財政出動に否定的な要人発言、肯定的な発言、米政府要人の日本の新たな対応を求める発言などから、126-129円台でもみ合った。

      (ドル・円レート東京終値:126.70-73円 2月27日)



米国金融
  • 2月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、ドル相場の下落や大統領の偽証強要疑惑の不透明感から上昇した。中旬は原油価格の下落等から5.7%台へ低下した後、利食い売り等からもみ合いとなった。下旬はFRB議長議会証言で目先の利下げの可能性が示されなかったため失望感から売られ5.9%台へ上昇した。
    (30年物国債利回り終値:5.915% 2月27日現在)
  • 2月上旬のNYダウは、初日にアジア経済が回復に向かうとの見方から過去4番目の上げ幅(前日比+201.28ドル)を記録し2か月ぶりに8100ドル台を回復した後、10日に最高値(8,295.61ドル)を更新した。その後も米国経済の堅調や、長期金利の低下等を背景に最高値更新を続け8,500ドル台を超えた。
    (NYダウ終値:8,545.72ドル 2月27日現在)


原  油
  • 2月上旬のWTI原油先物価格は、国連事務総長がイラクの限定的石油輸出枠拡大を安全保障理事会に勧告したことから16.37ドルまで下落したが、米国等のイラクに対する武力行使への懸念で16.70ドルに反発した。
  • 中旬は、イラクが国連の大量破壊兵器査察を受け入れるとの観測から15.66ドルまで下落したが、サウジアラビアが原油価格低迷への対策を協議するOPEC緊急会合の開催に賛意を示し16.25ドルまで上昇した。
  • 下旬は、国連事務総長の調停によりイラクが査察受け入れに合意したことや、安全保障理事会がイラクの限定的石油輸出枠拡大を決議したことから15.31ドルまで下落し、その後もOPEC諸国の減産に対する足並みが揃わないことなどから15ドル台前半で推移した。
    (WTI原油期近物終値:15.44ドル 2月27日現在)