月例経済概観


米国経済
総合指標でみる景気の現状

〇雇用者数の伸び・・・2月の非農業部門雇用者数は、前月比+31.0万人の増加

(注)シャドー部分は景気後退期を示す。
 《ポイント》
  • 2月の非農業部門雇用者数は、前月比+31.0万人の増加となった。2月分の公表に伴い、12月の増加数が+35.5万人から+35.4万人へ下方修正されたが、1月が+35.8万人から+37.5万人へと上方修正され、合計では+1.6万人上方修正された。四半期ベースでみると、雇用者数の増加ペースは97年7−9月期の平均+24.5万人から10−12月期に同+35.8万人ヘと拡大した後、98年1−2月の平均も+34.3万人と10−12月期に続き月平均30万人を上回る好調な伸びを記録している。失業率は4.6%と昨年の11月に続き24年ぶりの低水準となった。
  • インフレ関連指標とされる時間当り平均賃金は、前月比+0.6%の12.60ドルと2か月連続で上昇した。前年同月比でみると+4.1%と3か月ぶりに4%台に乗せた。     

(出所:労働省 3月6日発表)



 【解 説】

 米国経済は拡大している。97年10−12月期の実質GDP(速報値、季節調整値)は前期比年率+3.9%と、96年10−12月期以降5四半期連続で年率3%を上回る景気拡大が続いている。

 2月の製造業の景気実態を表すNAPM(全米購買部協会)景気総合指数は、53.3と21か月連続で景気拡大・縮小の分岐点である50を超えており製造業の景気拡大の持続を示唆している。

 需要面では、1月の小売売上高は、季調済み前月比+0.1%と3か月連続で増加した。設備投資の先行指標とされる1月の非軍需資本財受注(除く航空機)は、季調済み前月比+2.5%と2か月連続で増加した。1月の住宅着工件数は季調済み前月比−0.3%と2か月ぶりに小幅の減少となったが、戸数でみると年率換算153.4万戸と5か月連続で150万戸を上回る高い水準を記録した。生産面では、1月の鉱工業生産指数は暖冬による電力需要の低迷で季調済み前月比横ばいとなった。

 12月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季調値)の赤字幅は、前月比+24.3%の107.9億ドルと3か月ぶりに増加し、再び100億ドルを上回った。地域別貿易収支(通関ベース、原計数)では、対日貿易赤字が51.1億ドルとなり、対中赤字を大幅に上回って3か月連続で国別赤字トップとなった。

 この間、物価面では、1月の生産者物価は季調済み前月比−0.7%、消費者物価は同横ばいとそれぞれ落着いた動きを示した。

 なお、2月3、4日のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利の変更が見送られた。米国の政策金利は97年3月25日のFOMCで引上げられた後、7回連続で据え置きが続いている。

(3月9日記)

消  費

〇小売売上高…1月は、季調済み前月比+0.1%と3か月連続で増加
《ポイント》
  • 1月の小売売上高は、季調済み前月比 +0.1%と3か月連続で増加した。
  • 項目別にみると、耐久財は、その約6割を占める自動車が同−1.1%と減少したことから、同−0.6%と3か月ぶりに減少した。
  • 食品、アパレルなどの非耐久財は同  +0.5%と4か月ぶりに増加した。
  • 2月の消費者信頼感指数は138.3と前月から10.0ポイント上昇した。
(出所:商務省 2月12日発表)
コンファレンスボード 2月24日発表)


設備投資

〇鉱工業生産指数…1月は、季調済み前月比横ばい
《ポイント》
  • 1月の鉱工業生産指数は、季調済み前月比横ばいと96年10月以来1年3か月ぶりに横ばいとなった。業種別にみると、主力の製造業が同+0.3%と15か月連続で、鉱業が同+1.5%と4か月ぶりにそれぞれ増加となった。一方、公益事業は同−4.0%と2か月ぶりに減少した。
  • 鉱工業設備稼働率は、前月に比べて0.3%ポイント下落の83.0%と4か月ぶりに低下した。
(出所:FRB 2月17日発表)



外  需

〇貿易・サービス収支…12月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季調値)の赤字幅は、107.9億ドル
《ポイント》
  • 12月の貿易・サービス赤字は前月比  +24.3%の107.9億ドルへ増加し赤字幅は3か月ぶりに100億ドルを超えた。
  • 内訳をみると、内需好調を背景に貿易収支の赤字が同+12.2%の176.4億ドルと3か月ぶりに増加した。サービス収支の黒字は、同−2.7%の68.6億ドルと2か月連続で減少した。
  • 97暦年の貿易・サービス収支の赤字は、前年比+2.4%の1,137.5億ドルとなった。
(出所:商務省 2月19日発表)