月例経済概観


欧州経済
総合指標でみる景気の現状

○ドイツ:回復、フランス:拡大、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向

<欧州主要各国の鉱工業生産指数の推移(左図:四半期ベース 右図:月次ベース)>

(注)ドイツは 91年平均=100、フランスおよびイギリスは 90年平均=100とした指数
 《ポイント》

【ドイツ】
 景気は回復している。2月の鉱工業生産(除く建設)は、前月の急上昇の反動もあって前月比−0.6%と3か月ぶりに低下したが、水準では103.6と10〜12月平均(101.7)を上回った。ただ、雇用については、3月の失業率が前月と同じ11.5%と統一後最高(10〜12月の11.8%)に近い水準に留まるなど、厳しい環境が続いている。
【フランス】
 景気は拡大している。1月の貿易収支が165億フランの黒字と5か月連続で前年を上回り、1月の鉱工業生産(除く建設)は前月を下回ったが、水準では106.6と10〜12月平均(106.5)を上回った。また、個人消費も、2月の工業品家計消費が前年同月比+4.4%と5か月連続で前年を上回るなど回復している。ただし、雇用環境は、2月の失業率が12.1%と高水準に留まるなどなお厳しい。
【イギリス】
 景気は拡大しているが、拡大テンポは鈍化している。2月の小売売上数量が前年同月比 +4.5%と引き続き好調に推移するなど、個人消費を中心に景気拡大が続いており、2月の失業率も4.9%と17年8か月ぶりに5%を下回った。しかしながら、鉱工業生産が昨年7月をピークに緩やかな低下傾向を辿るなど、拡大テンポはこのところ鈍化している。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)
(参考) 欧州委員会は、3月25日にEU加盟15か国中、11か国を99年1月開始の単一通貨参加国に推薦した。



【解説:ドイツ経済】

ドイツ経済は回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。
2月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産が高水準を続け、IFO景況指数(旧西独地域)でも、業況見通しは後退したが、現況判断が93.9と7年2か月ぶりの水準まで上昇した。また、製造業新規受注も107.9と既往最高の前月(107.8)を僅かながら上回った。
需要関連の指標を内外需別にみると、内需では、2月の国内資本財新規受注が前年同月比+13.7%と2か月連続で前年を上回り、設備投資に回復の兆しがみられる一方、個人消費面では1月の小売売上数量が同−3.2%と3か月連続で前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。好調の続く外需では、2月の貿易黒字が63億マルクと3か月連続で前年を上回ったほか、2月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+9.1%と24か月連続で前年を上回った。
他方、物価面では、3月の消費者物価が前年同月比+1.1%、2月の生産者物価が同+0.7%と、 それぞれ前月と同じ上昇率となるなど、落ち着いた動きを続けている。

(4月9日記)