月例経済概観


金融市場
国内金利
  • 3月の短期金利は、日銀が上旬までに20兆円を超える3月期末越え資金を供給したことから、上中旬にかけて期越え資金調達に目処がついたとの観測が広がり逼迫感が後退、安定的に推移した。
     無担保コール翌日物金利は、月末を除き0.37-0.46%で安定的に推移した。日銀は先月に比べやや積み上を圧縮したが緩め調節を継続した。31日だけは期末であることから大幅に上昇した。
    (無担保コール翌日物加重平均金利:0.70% 3月31日現在)
     CD3か月物金利は、月初は強含んだものの(3日、0.88%)、その後は中旬にかけて低下を続け、18日には0.70%まで低下した。また2月は激減していた出合いも連日みられた。下旬はターム物全般に金利下げ止まり感が広がり出合いが途絶えたが、月末には発行が期明けになることから一段と低下して出合った。
    (CD3か月物金利:0.65% 3月30日現在)
  • 3月上旬の国債指標銘柄利回りは、ディーリング中心の低調な相場の続く中、景況感の悪化や株価の軟調な動きなどを背景にじりじりと低下した。中旬にはさらに政府要人の減税否定発言や3月期末に向け残高を積み増す動きなどが加わって買い進められ、小戻す場面をはさみながらも、史上最低利回りを更新して一時1.470%まで低下した。その後は一服感や経済対策への警戒感から1.5%台半ばに上昇、下旬には自民党経済対策の事業規模が事前の観測よりも大きかったことや所得税減税実施・財政構造改革法見直しとの報道等から急上昇し、一時1.630%まで達したが、月末の株価の動きをみてやや買い戻された。
     (国債指標銘柄利回り東証終値:1.580% 3月31日現在)


国内株式

日経平均株価
  • 3月に入って上旬は、株価対策に絡んだ要人発言を受け17,000円台を回復した。その後、大蔵省職員の接待汚職事件を受け一時弱含む場面もあったが、経済対策への期待感が下支えとなって、概ね17,000円を挟んだもみ合いの展開となった。
  • 中旬は、企業業績の悪化懸念や接待汚職事件の日銀への拡大を受け先物主導で16,500円台まで下落したが、その後株価対策に関する観測報道等から一時17,000円台まで戻した。しかし、企業の決算対策売りが膨らむ中、発表された97年10-12月期のGDPから97年度GDPはマイナス成長との観測が広がり、円安進行等も加わって地合いが悪化し16,700円前後で推移した。
  • 下旬は、株式市場への公的資金の投入に前向きな要人発言や自民党の総合経済対策の事業規模が16兆円超との報道等を受け一時17,000円台を付けたが、同対策に所得税減税が盛り込まれなかったことなどから16,700円前後で推移した。月末は株価対策が注目されたが、16,000円台半ばに留まった。

     (日経平均株価終値:16,527.17円 3月31日現在)



為  替
  • 3月上旬のドル・円相場は、日経平均の上昇から124円台後半まで下落したあと、アジア株・通貨の下落、大蔵省職員の接待汚職事件などからじり高となり、128円前後に上昇した。
  • 中旬は、日銀職員の逮捕から129円台まで急伸したあと、所得税減税を否定する要人発言報道などから131円台までレンジを上げ、さらに日銀介入の噂で乱高下した。
  • 下旬は、海外市場で日銀介入との噂が広まり128円台まで急落したが、じりじりと129円前後までレンジを戻した。さらにその後、日本の鉱工業生産の結果が悪かったこと、株価の下落、また新年度に向けた外債投資の動きなどから、133円台まで上昇した。

      (ドル・円レート東京終値:133.37-40円 3月31日)



米国金融
  • 3月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、NAPM景況指数の予想外の上昇等から一時6%台に乗せたものの、原油価格の下落等から再び5%台へ低下した。中旬はドル相場の上昇や物価の落着きから低水準で安定的に推移した。下旬はヘッジファンドの売りや押し目買いが交錯し狭いレンジ内での取引となった。
    (30年物国債利回り終値:5.929% 3月31日現在)
  • 3月上旬のNYダウは、企業業績への不安から下落する局面もあったが米国経済の堅調を背景に上昇し8,600ドル台へ乗せた。その後も長期金利の低下等を背景に最高値更新を続け20日に8,900ドル台を超えた。下旬は9,000ドル台に迫る場面もあったが、原油相場の上昇や高値警戒感から売られ下落した。
    (NYダウ終値:8,799.81ドル 3月31日現在)


原  油

WTI原油先物価格(期近物)
(ドル/バーレル)
  • 3月上旬のWTI原油先物価格は15ドル台前半から始まったが、ガソリンの供給過剰懸念による下落や、サウジアラビア石油鉱物資源相が原油減産の可能性を否定したことなどから、14.26ドルまで下落した。
  • 中旬は、続落して88年11月以来の13.21ドルまで下落した。しかし、国営ベネズエラ石油総裁が、ベネズエラはOPEC加盟国及び非加盟国による生産調整を模索していると発言したことなどから反発した。
  • 下旬は、サウジアラビア、ベネズエラ、メキシコがOPEC加盟国及び非加盟国による協調減産構想の共同声明を発表し、各産油国も同調したため16.83ドルまで上昇した。30日のOPEC臨時総会では減産合意したが、減産量が供給過剰解消には不十分との見方が広がり下落した。

    (WTI原油期近物終値:15.61ドル 3月31日現在)