月例経済概観


欧州経済
総合指標でみる景気の現状

○ドイツ:回復、フランス:拡大、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向




 《ポイント》

【ドイツ】
 景気は回復している。3月の鉱工業生産(除く建設)は前月比−0.5%と4か月ぶりのマイナスながら、1−3月平均は104.3と前期(101.8)を上回った。ただ、雇用については、4月の失業率が11.4%と統一後最高(97年10−12月の11.8%)に近い水準に留まるなど、厳しい環境が続いている。
【フランス】
 景気は拡大している。2月の貿易収支が140億フランの黒字と6か月連続で前年を上回り、2月の鉱工業生産(除く建設)も前月比+0.7%と2か月ぶりにプラスとなった。また、個人消費も、2月の工業品家計消費が前年同月比+3.9%と6か月連続で前年を上回るなど回復している。なお、雇用環境は、2月の失業率が12.0%となお高水準であるが、ピーク(97年6月の12.6%)より0.6%ポイント低下している。
【イギリス】
 景気の拡大は続いているが、拡大テンポが鈍化している。3月の小売売上数量が前年同月比 +4.2%と引き続き好調に推移するなど、個人消費を中心に景気拡大がなお続いており、3月の失業率も17年8か月ぶりに5%を下回った前月と同じ4.9%となった。しかしながら、鉱工業生産が昨年7月をピークに緩やかな低下傾向を辿るなど、拡大テンポはこのところ鈍化している。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)
(参考) EU首脳会議(欧州理事会)は、5月2日の特別会議で、加盟15か国中、11か国による99年1月からの単一通貨導入を正式決定した。また、近く設立される欧州中央銀行の役員会メンバー(総裁等6人)を推薦した。



【解説:ドイツ経済】

 ドイツ経済は回復しており、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。
 3月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産が高水準を続け、IFO景況指数(旧西独地域)についても、業況見通しは若干後退したが、現況判断が2月に記録した6年2か月ぶりの高水準と同じ94.0となった。また、製造業新規受注も、既往最高の前月を下回ったものの、前年同月比+6.3%と高水準を続けた。
 需要関連の指標を内外需別にみると、内需では、3月の国内資本財新規受注が前年同月比+7.7%と3か月連続で前年を上回り、設備投資に回復の兆しがみられる一方、個人消費面では、2月の小売売上数量が同−0.5%と4か月連続で前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。好調の続く外需では、2月の貿易黒字が117億マルクと4か月連続で前年を上回ったほか、3月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+6.6%と25か月連続で前年を上回った。
 他方、物価面では、3月には、消費者物価が東西ドイツ統一後最低だった2月と同じ前年同月比+1.1%となったほか、生産者物価も同+0.6%と伸びを低めるなど、落ち着いた動きを続けている。

(5月12日記)