月例経済概観


金融市場
国内金利
  • 4月の無担保コール翌日物金利は、概ね0.4%台で安定的に推移した。月初は資金余剰感から低下した。以後は、日銀が上旬に朝方の調節としては昨年11月以来の中立調節を行うなど積み上を圧縮したこと、また中旬には日銀の為替介入に絡み一部銀行の決済が遅れたことや積み最終日があったことなどで強含む局面もあったが、大きな波乱にはならなかった。
     (無担保コール翌日物加重平均金利:0.46% 4月30日現在)
  • 4月上旬のCD3か月物金利は、月初に大量発行があったことやムーディーズが日本国債の格付見通しを「ネガティブ」に変更したことの影響などから、先月末に比べ強含んだ(2日、0.70%)。しかしその後下旬にかけては、金融緩和強化観測等からじりじりと低下した。
     (CD3か月物金利:0.63% 4月30日現在)
  • 4月上旬の国債指標銘柄利回りは、日銀短観が弱い結果だったことから景気対策で国債増発との思惑が拡がり上昇、さらにムーディーズが日本国債の格付見通しを「ネガティブ」に変更したことを嫌気して急上昇し、その後も続伸して一時1.705%まで達した。しかしその後は自民党の総合経済対策などの売り材料が出尽くしたとの見方から低下、さらに中旬には先物の動きにつられて1.5%を割りこんだ。下旬には政府の総合経済対策の真水が12兆円との報道や恒久減税を示唆する要人発言などから一時1.545%まで上昇したが、政府の総合経済対策発表を終え買い安心感が広がったこと、6年物国債入札が好調だったことなどから買い進められ、一時1.450%まで低下した。

    (国債指標銘柄利回り東証終値:1.455% 4月30日現在)


国内株式


  • 4月上旬の株価は、日銀短観の内容が市場予想以上に悪化したことなどから1月14日以来の16,000円割れとなった。その後、ムーディーズが日本国債の格付け見通しを「ネガティブ」に変更したと報じられ15,500円台まで下落したが、追加の所得税減税実施との報道から16,500円台まで戻した。
  • 中旬は、自民党の総合経済対策発表後からG7までは新規材料に欠け模様眺めムードが広がり16,300円前後でのもみ合いが続いた。G7の結果が市場予測の範囲内であったため円売り警戒感が高まり、16,000円を割込んだ。円安懸念から外人投資家の売りが優勢となり一時15,400円台まで下落した。
  • 下旬は、政府の総合経済対策の発表前にかけ15,700円前後でもみ合った。24日には財政健全化目標年次の先送りや恒久減税の検討等が報じられ、16,000円台を回復した。その後、「銀行破綻が有り得る」との要人発言や3月の失業率の悪化など景気低迷を受け15,300円台まで下落した。

     (日経平均株価終値:15,641.26円 4月30日現在)



為  替
  • 4月上旬のドル・円相場は、ムーディーズが日本国債の格付見通しを「ネガティブ」に変更したことから、91年以来の135円台まで上昇した。その後は急速な円安進行への警戒感からじり安となり、さらに日銀の介入で乱高下し一時127円台まで急落した。
  • 中旬は、G7を控え様子見で推移した後、G7の共同声明で協調介入について明記されなかったことなどから132円台まで上昇した。
  • 下旬は、政府の総合経済対策に関する思惑から129円台までじり安となったが、恒久減税に否定的な要人発言や円安による経済悪化リスクは小さいとする要人発言から132円台まで反発した。その後は連休を控え小動きで推移した。

      (ドル・円レート東京終値:131.93-96円 4月30日)



米国金融
  • 4月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、予想外に弱かった雇用統計を受けて5.8%を割り込んだ後、ドル相場の下落を受けて上昇した。中旬は物価の落着き等から低水準で安定的に推移した。下旬は利上げ観測が広がり一時6%台に乗せたものの雇用コスト指数が予想を下回ったことから再び6%を下回った。
    (30年物国債利回り終値:5.944% 4月30日現在)
  • 4月上旬のNYダウは、金融業界の大型合併発表を受けて初めて9,000ドル台へ乗せた。その後も最高値更新を続け22日には一時9,200ドル台に乗せた。27日には利上げ観測が広がり9,000ドル台を下回ったが、月末の各種経済指標が低インフレ下での持続的経済成長を示唆したため上昇し9,000ドル台を回復した。
    (NYダウ終値:9,063.37ドル 4月30日現在)


原  油


  • 4月上旬のWTI原油先物価格は、先月末のOPEC総会で協調減産が合意され、中国も自主減産するとの報道から15.99ドルまで上昇したが、産油国の減産の効果は限られるとの見方も強く15ドル台で推移した。
  • 中旬は、米国での相次ぐ製油所故障からガソリンが上昇した影響などがあったものの、IEA(国際エネルギー機関)が、産油国の減産は供給過剰の解消には不十分との見方を示したことなどから15ドル台での推移となった。
  • 下旬は、供給過剰懸念や、ガソリンが予想外の在庫増から下落した影響などから15.09ドルまで下げた後、OPEC加盟各国の石油相が追加減産の可能性について発言したことから上昇したものの、原油在庫の増加などもあり15ドル台前半で月越えとなった。

    (WTI原油期近物終値:15.39ドル 4月30日現在)