月例経済概観


欧州経済
総合指標でみる景気の現状

○ドイツ:回復から拡大へ、フランス:拡大を持続、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向




 《ポイント》

【ドイツ】
 景気は回復から拡大に転じている。5月の鉱工業生産指数(除く建設)は108.8と、前月比+0.8%、前年同月比+6.5%となった。また、雇用については回復傾向にあり、6月の失業率は11.0%と、前月比−0.2%ポイント改善している。
【フランス】
 景気は拡大を持続している。4月の貿易収支が154億フランの黒字と8か月連続で前年を上回り、4月の鉱工業生産(除く建設)も前月に大きく伸びた(+1.9%)反動が出て前月比−0.5%となったものの、前年同月比+5.1%と依然高水準を持続している。また、個人消費も、4月の工業品家計消費が前年同月比+5.3%と8か月連続で前年を上回るなど回復している。なお、雇用環境は、4月の失業率が11.9%となお高水準であるが、ピーク(97年6月の12.6%)より0.7%ポイント、前月より0.1%ポイント低下している。
【イギリス】
 景気の拡大テンポが鈍化している。5月の小売売上数量が前年同月比+4.6%と引き続き好調に推移するなど、個人消費を中心に景気拡大がなお続いており、5月の失業率も前月と同じ4.8%と低水準となった。しかしながら、鉱工業生産は前月比−1.2%と3か月ぶりにマイナスとなり、昨年7月をピークに緩やかな低下傾向を辿るなど、拡大テンポはこのところ鈍化している。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)



【解説:ドイツ経済】

 ドイツ経済は回復から拡大に転じ、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。
 5月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産が高水準を続け、IFO景況指数(旧西独地域)についても、前月と同じ98.7、前年同月差+3.0ポイントと依然高水準を維持している。また、製造業新規受注も、前月を若干下回ったものの、前年同月比+6.1%と高水準を続けた。
需要関連の指標を内外需別にみると、好調の続く外需は、4月の貿易黒字が114億マルクと6か月連続で前年を上回ったほか、5月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+6.8%と27か月連続で前年を上回った。一方、内需では、5月の国内資本財新規受注は前年同月比+4.5%と5か月連続で前年を上回り、設備投資に回復の兆しがみられるものの、個人消費面では、4月の小売売上数量が同−2.3%と2か月ぶりで前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。
他方、物価面では、5月の消費者物価は前年同月比+1.3%、生産者物価も同+0.1%と伸びを低めるなど、落ち着いた動きを続けている。   

(7月10日記)