月例経済概観


米国経済
総合指標でみる景気の現状

〇雇用者数の伸び・・・6月の非農業部門雇用者数は、前月比+20.5万人の増加


 《ポイント》
  • 6月の非農業部門雇用者数は、前月比+20.5万人と堅調な伸びとなった。四半期ベースでみると、4、5月の雇用者数が上方修正されたため、4−6月期平均では+27.8万人と1−3月期平均の+20.8万人から大幅に増加した。失業率は4.5%と約28年ぶりの低水準であった4、5月の4.3%から0.2%ポイント上昇したものの、依然5%を下回る低水準が続いている。
  • インフレ関連指標とされる時間当り平均賃金は、前月比+0.1%の12.74ドルと小幅上昇に留まったものの、前年同月比でみると+4.1%と5か月連続で4%台に乗せた。      

(出所:労働省 7月2日発表)



【解 説】

米国経済は拡大している。98年1−3月期の実質GDP(確報値、季節調整値)は前期比年率+5.4%と、96年4−6月期(同+6.0%)以来の高い伸びを記録した。

NAPM(全米購買部協会)のアンケート調査に基づく6月の景気総合指数によると、製造業は49.6と96年7月以来約2年ぶりに景気拡大・縮小の分岐点である50を下回ったものの、非製造業では61.5と引き続き景気拡大の持続が示唆された。

需要面では、5月の小売売上高は、自動車販売が好調で季節調整済み前月比+0.9%と7か月連続で増加した。5月の住宅着工件数は季節調整済み前月比−0.7%と3か月連続で減少したものの、戸数でみると年率換算153.0万戸と9か月連続で150万戸を上回る水準を記録した。設備投資の先行指標とされる5月の非軍需資本財受注(除く航空機)は、季節調整済み前月比+1.0%と2か月ぶりに増加した。生産面では、5月の鉱工業生産指数は季節調整済み前月比+0.5%と3か月連続で上昇した。  

4月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季節調整値)の赤字幅は、前月比+9.5%の144.6億ドルと3か月連続で増加し、現行統計開始(92年1月)以来の最大額を更新した。地域別貿易収支(通関ベース、原計数)では、対日貿易赤字が54.1億ドルとなり、貿易赤字全体に占める比率は28.3%と7か月連続で国別赤字トップとなった。

この間、物価面では、5月の生産者物価が季節調整済み前月比+0.2%と落着いた動きを示し、消費者物価も同+0.3%と安定的に推移している。

なお、6月30日〜1日のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利の変更が見送られた。米国の政策金利は97年3月25日のFOMCで引上げられた後1年以上据え置きが続いている。  

(7月10日記)

家 計 部 門

〇小売売上高…5月は、季節調整済み前月比+0.9%と7か月連続で増加

《ポイント》
  • 5月の小売売上高は、季節調整済み前月比+0.9%と7か月連続で増加した。
  • 内訳をみると、耐久財は自動車販売が好調で同+1.7%と2か月連続で増加した。
  • 食品、アパレルなどの非耐久財は同  +0.4%と5か月連続で増加した。
  • 6月の消費者信頼感指数は良好な所得環境や雇用環境を背景に137.6と前月から1.3ポイント上昇した。
(出所:商務省 6月11日発表) コンファレンスボード 6月30日発表)



企 業 部 門

〇鉱工業生産指数…5月は、季節調整済み前月比+0.5%と3か月連続上昇

《ポイント》
  • 5月の鉱工業生産指数は、季節調整済み前月比+0.5%と3か月連続で上昇した。業種別にみると、全体の約86%を占める主力の製造業が同+0.2%と2か月連続で上昇したほか、鉱業が同+1.2%と3か月ぶりに、公益事業も同+2.8%と2か月ぶりに上昇した。前年比でみても +4.4%と堅調に推移している。
  • 鉱工業設備稼働率は、前月比+0.1%ポイント上昇し82.2%となった。
(出所:FRB 6月16日発表)



海 外 部 門

〇貿易・サービス収支…4月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季調値)の赤字は、144.6億ドル
《ポイント》
  • 4月の貿易・サービス収支の赤字は、前月比+9.5%の144.6億ドルと3か月連続増加し、現行統計開始(92年1月)以来の最大額を更新した。
  • 内訳をみると、サービス収支の黒字が前月比−3.8%と減少した一方で、貿易収支の赤字が同+4.7%と増加した。
  • 対日貿易赤字は前年同月比+9.2%増加し、赤字全体に占める割合も28.3%と7か月連続で国別トップとなった。
(出所:商務省 6月18日発表)