欧 州 経 済

景  気  の  現  状

○ドイツ、フランス:ゆるやかな拡大を持続、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向。
<欧州主要各国の失業率の推移>

《ポイント》

【ドイツ】
 景気は外需を中心にゆるやかな拡大を持続している。6月の鉱工業生産指数(除く建設)は106.8と、前月比−2.3ポイント、前年同月比+2.3ポイントとなった。また、雇用についてはなお高 水準ながらも低下傾向にあり、7月の失業率は10.9%と、前月比−0.1%ポイント、前年同月比で−0.7%ポイント改善している。

【フランス】
景気はゆるやかな拡大を持続している。5月の貿易収支が143億フランの黒字と2か月 連続で前年を下回ったものの、5月の鉱工業生産(除く建設)は前月比+0.6%、前年同月比+6.3%と依然高水準を持続し、また、個人消費も6月の工業品家計消費が前年同月比+8.3%と10か月連続で前年を上回るなど内需は力強く推移している。雇用については、6月の失業率が11.8%となお高水準ながらも低下傾向にあり、前月比0.1%ポイント、ピーク(97年6月の12.6%)比0.8%ポイント改善している。

【イギリス】
景気の拡大テンポが鈍化している。6月の鉱工業生産は前月の大幅減の反動で前月比+0.7%と増加したものの、対前年比では+0.2%の伸びに止まり、昨年7月をピークに緩やかな低下傾向を辿っている。また、6月の小売売上数量も前年同月比+2.3%と、最近の5%前後の伸びに比べ低下するなど、拡大テンポは鈍化している。ただ、6月の失業率は前月と同じ4.8%と低水準を維持している。
(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)


【解説:ドイツ経済】

ドイツ経済は外需を中心にゆるやかな拡大を維持し、主要経済指標は、生産関連を中心に総じて堅調に推移している。 6月の生産関連の指標をみると、鉱工業生産が高水準を続け、ifo景況指数(旧西独地域)についても、前月に比べ−0.4ポイントの98.3となったものの、前年同月差+1.8ポイントと依然高水準を維持している。また、製造業新規受注も、前月を下回ったものの、前年同月比+3.1%と高水準を続けた。 需要関連の指標を内外需別にみると、内需は、6月の国内資本財新規受注は前年同月比+2.1%と6か月連続で前年を上回り、設備投資に力強さがみられるものの、個人消費面では、5月の小売売上数量が同−0.4%となるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。一方、好調の続く外需は、5月の貿易黒字が146億マルクと7か月連続で前年を上回ったほか、6月の国外向け製造業新規受注も前年同月比+4.6%と28か月連続で前年を上回った。 他方、物価面では、6月の消費者物価は前年同月比+1.2%、生産者物価も同−0.1%と伸びを低めるなど、落ち着いた動きを続けている。 
(8月10日記)





top