金 融 市 場 (7月期)


国 内 金 利




・7月上旬の無担保コール翌日物金利は、金融不安再燃懸念などから金利上昇圧力が強まったため日銀が大幅な緩め調節を実施し、月初に0.28%に低下するなど波乱含みで始まったが、その後は徐々に落ち着いた。中旬は、積み最終日となる15日に0.51%まで上昇したが、それ以外は安定的に推移した。下旬は、ターム物金利の高止まりなどから日銀は再び緩め調節を強化し、月末を除き0.4%前後の低位で推移した。
 (無担保コール翌日物加重平均金利:0.46% 7月31日現在)

・7月上旬のCD3か月物金利は、やや高止まりの感はあったものの落ち着いた推移となった。中旬になると、金融不安再燃懸念などを背景に資金の出し手が短期の運用を指向する傾向が強まり、出合いにくい状況が続いた。下旬は再び出合いが見られるようになったが、金利は高止まりの状態が続いた。
 
(CD3か月物金利:0.70% 7月29日現在)

・7月上旬の国債指標銘柄利回り(業者間)は、恒久減税に関する橋本総理大臣の発言などをめぐって、1.3%台を中心に上下した。中旬には参院選での自民党の敗北などから1.4%台に上昇したが、後継総裁人事や政策の方向性を見極めたいとの思惑から、その後は1.4%台前半を中心にもみ合いとなった。下旬は、新発国債の販売が好調だったことをきっかけに低下基調に転じた。ムーディーズが日本国債の格付を引下げの方向で検討と発表したことや利食いなどから反発する場面を挟みつつも、日銀総裁が講演で9月決算期末に向けCPオペを弾力的に活用すると述べたことから一層金利低下が意識され、先物主導で急速に低下し、一時2%を割り込んだ。その後は利食いなどで反発した。
 
(国債指標銘柄業者間利回り終値:1.250% 7月31日現在)



国 内 株 式

・7月上旬の株価は、前月から92年2月以来の8日連騰を記録し16,500円台に乗せた。その後、恒久減税を巡る要人発言に敏感に反応しもみ合ったが、参院選を控え見送りムードが広がり、証券会社の自己売買部門のポジション整理売り等から16,100円台を割込んだ。
・中旬は、参院選での自民党の敗北や総裁の辞任から政治的空白を警戒し一時16,000円を割ったが、自民党の後継総裁人事に絡む思惑から16,700円台まで上昇した。 ・下旬は、ムーディーズが日本国債の格付けを引下げの方向で見直すとの報道から、16,100円台後半まで下落した。その後、6月30日以来の16,000円割れとなったものの、住友銀行と大和証券の提携報道を受け金融業界の再編が進展するとの観測等から上昇に転じ、年金資金の押し目買いや投信の新規設定に伴う買い等が入り4日続伸した。
 (日経平均株価終値:16,378.97円 7月31日現在)



為     替
(注)実効為替レートは米・EU・アジア諸国等33通貨ベース、郵政研究所作成

・7月上旬のドル・円相場は、ブリッジバンク制度(金融再生トータルプラン)の内容が新味に乏しいと評価されたことなどから141円台まで上昇した後、恒久減税に関する要人発言をめぐって138−140円台で上下した。
・中旬は、参院選での自民党の敗北から一時144.50円をつけるなど乱高下し、その後も後継総裁の人事をめぐって138−140円台で上下した。
・下旬は、ムーディーズが日本国債格付を引下げの方向で見直すと発表したことなどから142円台に上昇、その後一旦140円台までじり安となったが、自民党総裁選の結果や宮沢新大蔵大臣が円安容認ともとれる発言をしたことなどから上昇した。
(ドル・円レート東京終値:143.77/80円 7月31日現在)



米 国 金 融

・7月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、雇用統計の結果を受けて低下し、ドル相場の上昇等から6日には30年債としての史上最低水準(5.570%)を更新した。中旬は自民党の総裁交代による日本経済の早期回復への期待感等から利食い売りが出て上昇した。下旬は株価動向に左右されてもみ合う展開となった。
(30年物国債利回り終値:5.707% 7月31日現在)

・7月上旬のNYダウは、4−6月期の企業業績が好調との楽観的な見方が広がり9,000ドル台を回復した。中旬は好調な企業業績発表を受けて最高値更新を続け16日には終値で初めて9,300ドル台に乗せた。下旬はアジア経済への懸念が再燃したほか、企業業績の先行きへの不安感が広がり9,000ドルを割り込んだ。
(NYダウ終値:8,883.29ドル 7月31日現在)



原     油

WTI原油先物価格(期近物)
(ドル/バーレル)
・7月上旬のWTI原油先物価格は、独立記念日の連休前に14.50ドルまで上昇したが、供給過剰懸念は依然強く、ベネズエラがイランの減産不足を批判したことなどから、13.62ドルまで下落し、その後も13ドル台後半で推移した。
・中旬は、サウジアラビアが8月からの原油輸出を絞ると伝えられたことや、米石油協会と米エネルギー省の統計で原油在庫が減少したことなどから、14.87ドルまで上昇した。その後、ガソリンが在庫増から約4年半ぶりの安値に下落したことにつれ、原油も13.34ドルまで下落した。
・下旬は、産油国の第二次減産による供給抑制と、アジア経済減速による需要低迷が当面続くとみられることから、動きにくく14.00ドル付近で推移した。
(WTI原油期近物終値:14.21ドル 7月31日現在)