欧 州 経 済

景  気  の  現  状

○ドイツ:一部に弱い動きがみられるものの拡大持続、
フランス:拡大を持続、イギリス:拡大テンポが鈍化傾向


(注)ドイツは 95年平均=100、フランスおよびイギリスは 90年平均=100とした指数

《ポイント》

【ドイツ】
 景気は消費に弱い動きがみられるものの拡大している。7月の鉱工業生産指数(除く建設)は108.8と前月比+3.8%と大幅に増加し、前年同月比で見ても+2.8%と堅調に推移している。また、8月の失業率は10.9%(前月比変わらず)となったものの、雇用も回復傾向にある。一方で、6月の小売売上数量が前年同月比−2.7%と3か月連続で前年割れとなる等、盛り上がりに欠ける状態が続いている。

【フランス】
景気は拡大している。6月の鉱工業生産(除く建設)指数は108.5と5月の増加の反動から前月比−0.3%となったものの、前年同月比では+5.3%と依然高水準を持続している。個人消費も、6月の工業品家計消費が前年同月比+8.3%と10か月連続で前年を上回るなど好調に推移している。また、雇用も回復傾向にあり、7月の失業率は11.8%(前月比変わらず)となお高水準であるが、97年6月の12.6%をピークに低下を続けている。

【イギリス】
景気の拡大テンポが鈍化している。7月の小売売上数量が前年同月比+3.0%と引き続き堅調に推移するなど、個人消費を中心に景気拡大がなお続いており、7月の失業率も4.7%と、前月比−0.1%ポイント改善した。しかしながら、7月の鉱工業生産が110.8と前月比+0.4%、前年同月比で見ても+0.0%に止まるなど、拡大テンポはこのところ鈍化している。

(出所:独連邦雇用庁、独経済省、仏労働省、仏国立経済統計研究所、英中央統計局)



【解説:ドイツ経済】
ドイツ経済は拡大を持続しているものの、98年1ー3月期の実質GDP成長率が前年同期比+4.3%と大幅に伸びた反動もあり、4ー6月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.7%と減速し、主要経済指標の動きも強弱まちまちとなっている。
生産関連の指標をみると、7月の鉱工業生産指数(除く建設)は、前年同月比+2.8%と堅調に推移し、また、製造業新規受注も、前月を若干下回ったものの、前年同月比+3.3%となった。製造業稼働率(旧西独ベース)も87.2%と、依然高水準を維持している。
一方、需要関連の指標を内外需別にみると、内需では、7月の国内資本財新規受注が前年同月比+9.8%と7か月連続で前年を上回り、設備投資が好調に推移しているものの、個人消費面では、6月の小売売上数量が前年同月比−2.7%と3か月連続で前年割れとなるなど、盛り上がりに欠ける状態が続いている。また、外需では、6月の輸出が前年同月比+5.4%と好調なものの、輸入が同+7.8%と輸出を上回る伸びを示したことから、貿易黒字は97億マルクと8か月振りに前年を下回った。
他方、物価面では、7月の消費者物価は前年同月比+0.9%、生産者物価も同−0.4%と伸びを低めるなど、落ち着いた動きを続けている。
(9月10日記)