金 融 市 場 (8月期)


国 内 金 利



・8月上旬の無担保コール翌日物金利は、日銀がCPオペ拡充で期越え資金供給を強化する姿勢を鮮明にしたことから、概ね0.4%台前半の落ち着いた動きとなった。中旬は、積み最終日の14日に0.49%まで上昇したが、それ以外は0.4%台前半で引き続き安定的に推移した。下旬は、日銀の弾力的な緩め調節により、月末を除き0.4%前後の低位で推移した。
(無担保コール翌日物加重平均金利:0.45% 8月31日現在)


・8月上旬のCD3か月物金利は、金融不安再燃懸念などを背景に短期の運用を指向する傾向が強まり、出合いにくい状況となった。中旬も出合いにくい状況は続いたが、0.7%台中心に出会いやや高止まりの感が生じた。下旬になると、金融不安が高まったものの、日銀の潤沢な資金供給から金利上昇に歯止めがかかったとの見方が広がり、金利は弱含んだ。
(CD3か月物金利:0.66% 8月28日現在)


・8月上旬の国債指標銘柄利回り(業者間)は、金融不安再燃懸念は残るものの、日銀の金融緩和スタンス継続する姿勢を受け1.2%台前半から1.1%台後半まで低下した。中旬には、株価の下落から1.1%台半ばまで低下した場面もあったが、商事会社の自己破産等から信用不安が広がり1.2%前後で推移した。下旬は、ロシア経済の混乱、世界的な株安を背景とした「質への逃避」の流れ、デフレ懸念の高まり、金融再生関連法案審議の難航等から、一時1.040%の過去最低水準を記録するなど、金利は1.1%を切る水準まで低下した。
(国債指標銘柄業者間利回り終値:1.040% 8月31日現在)



国 内 株 式


・8月上旬は、円安傾向に嫌気したほか、金融株が金融各社の不祥事処分や金融再生関連法案の審議紛糾との観測とあいまって売られ、株価は6日続落して前月回復したばかりの16,000円台を割り込んだ。
・中旬は、金融再生関連法案の審議の行方が依然として不透明であったため銀行株が下げ止まらず、上旬から引き続き8日続落し91年11月以来の記録となった。9日目の小幅反発をはさんで、アジアやロシアでの経済危機への警戒感から再び続落して15,000円を割り込む日もあったが、その後は幅広く買われた。
・下旬は、国内では業績下方修正を発表する企業が目立ち、海外ではロシアの政局不安を受けた株安があり、一気に下げ幅を広げて28日にはバブル後安値をさらに下回る86年3月以来の14,000円割れの引値をつけた。月末は一部銀行の第三者割当増資計画が報道されたことを好感して反発し14,000円台を回復した。
(日経平均株価終値:14,107.89円 8月31日現在)



為     替

・8月上旬のドル・円相場は、145円台をつけた後、宮沢蔵相の介入に肯定的な発言やNYダウの下落から143円台まで下落したが、中国人民元切り下げ観測などから146円台に上昇した。
・中旬は、年初来高値を更新し8年ぶりの水準となる147円64銭まで上昇し、144-147円台で推移した後、日本政府高官の介入を示唆する発言が相次いだことなどから142円台に下落した。
・下旬は、商事会社の自己破産やロシア情勢への懸念などから145円台に上昇したが、海外投資家のロシア市場混乱等による損失を埋めるための利益確定売りや、介入警戒感、米国株式の急落などから一時140円台まで下落した。
(ドル・円レート東京終値:141.50/53円 8月31日現在)



米 国 金 融



・8月上旬の長期金利(30年物国債利回り)は、NYダウの下落から5.6%台に小幅低下した。中旬は、ロシアの通貨実質切り下げなど金融経済の混乱や、中南米市場の動揺などから30年債としての史上最低水準を更新し5.50%付近まで低下した。下旬はロシア混乱の深まりや、NYダウ急落から史上最低水準を更新した。
(30年物国債利回り終値:5.236% 8月31日現在)

・8月上旬のNYダウは、有名アナリストの弱気発言をきっかけに8500ドル付近に下落した。中旬はクリントン大統領の不倫もみ消し疑惑に関する証言等から一時8700ドル台に上昇した。下旬はロシア混乱の米国経済への影響懸念や世界的株安などから下落し、31日は500ドルを超える史上第2位の急落となった。
(NYダウ終値:7,539.07ドル 8月31日現在)



原     油


WTI原油先物価格(期近物)

・8月上旬のWTI原油先物価格は、イラクの大量破壊兵器査察協力停止などを材料に、一時13.80ドルまで上昇した。しかし、OPEC減産合意の実施も不完全であることが明らかになり13.05ドルまで下落した。
・中旬は、世界的な株安進行を背景に、一時13ドル台を割り込んだ。その後、サウジアラビアが9月の原油輸出18%削減を表明し13.35ドルまで戻したが、ロシア通貨切下げをうけて需給緩和懸念は強く、テロへの米軍報復爆撃にも反応薄で13ドル台前半で推移した。
・下旬は、一部産油国の石油相会談、米国による戦略的石油備蓄積み増し表明などで一時13.77ドルまで上昇した。しかし、需給懸念が強いため上値は重く、13ドル台半ばで推移した。一方、NY株の急落に対しては小幅の下落に留まった。
(WTI原油期近物終値:13.34ドル 8月31日現在)