月例経済・金融概観
日 本 経 済

景 気 の 現 状

○日銀短観(平成10年9月調査)・・・主要企業・製造業の業況判断は▲51と6月調査(▲38)から悪化

主要企業・業況判断D.I.の推移


(注) シャドーは景気後退期を示す。(暦年)10年12月の値は予測値。



《ポイント》
・日銀短観(企業短期経済観測調査、9月)によると、主要企業・製造業の業況判断は、▲51と前回6月調査の▲38からさらに悪化した。前回6月調査時の9月予測値は▲34であったが、実際はこれを下回った。先行き12月については、▲46と小幅改善するものの、大幅なマイナスが続くと見込まれている。・主要企業・非製造業の業況判断は、▲36と前回6月調査の▲28からさらに悪化した。先行き12月については、▲31と小幅改善するものの、依然大幅なマイナスが続くと見込まれている。・中小企業の業況判断は、製造業が▲57、非製造業が▲44と、ともに調査開始以来最悪の水準となった。先行き12月については、製造業は▲57と横ばい、非製造業は▲46と一段の悪化が見込まれている。
 

(出所:日本銀行 10月1日発表)

【概 要】

全体
・景気は後退局面が持続。最終需要は弱い状況(個人消費は低迷。住宅投資は低水準。設備投資は鈍い動き)。鉱工業生産は減少傾向。雇用情勢は極めて厳しい状況。
・8月の景気動向指数の一致D.I.:25.0%(13か月連続で50%を下回る)。

需要面
・8月の実質家計消費支出:前年同月比−2.4%(10か月連続の減少)。
・8月の新設住宅着工戸数:年率換算値で118.0万戸(2か月連続の120万戸割れ)。
・8月の機械受注(船舶・電力を除く民需):前月比−3.5%(2か月連続の減少)。

生産面
・8月の鉱工業生産指数:前月比−0.6%(2か月連続の低下)。
・8月の在庫率指数(=在庫/出荷):前月比+1.8%(2か月連続の上昇)。

外需面
・8月の通関貿易黒字:前年同月比+24.1%(17か月連続の増加)。

雇用面
・8月の完全失業率:4.3%(既往最悪の6月と並ぶ)。
・8月の有効求人倍率:0.50倍(既往最悪の7月と並ぶ。有効求人数は13か月ぶりに前月比増加)。

物価面
・8月の全国消費者物価(生鮮食品を除く総合):前年同月比−0.1%。9月の国内卸売物価:同−2.0%。

金融政策(9月9日の金融政策決定会合で決定)
・無担保コール翌日物金利誘導目標を「0.5%をやや下回る水準」から「0.25%前後」へ引き下げ。




家 計 部 門

○実質家計消費支出・・・・・8月は前年同月比−2.4%と10か月連続で減少

《ポイント》
・8月の実質家計消費支出は、前年同月比 −2.4%と10か月連続で減少となった。費目別にみると、10費目中「家具・家事用品」等5費目がプラス寄与となったものの、「その他の消費支出」、「交通・通信」等5費目のマイナス寄与が大きかった。
・大型小売店販売額(店舗調整済み)は、同 −5.1%と4か月連続で減少した。業態別には、百貨店が同−4.3%、スーパーも同−5.7%とともに4か月連続で減少した。
(出所:総 務 庁 10月6日発表、通商産業省 9月30日発表)



企 業 部 門

○鉱工業生産・・・・・8月の鉱工業生産指数は前月比−0.6%と2か月連続の低下


《ポイント》
・出荷指数は前月比−0.9%と低下した。在庫指数も同−0.5%と4か月連続で低下したものの、依然高水準にある。
・生産予測指数は、9月が前月比+3.0%、10月が同−1.0%と見込まれている。
・通産省は、「生産は低下傾向にあり、在庫調整に進展がみられるものの、在庫、在庫率も高水準にあることから、今後の動向を注視していく必要がある」と、7月と同じ判断を示した。
(出所:通商産業省 9月30日発表)



海 外 部 門

○通関貿易収支・・・・・・8月の通関貿易黒字は前年同月比+24.1%と17か月連続で増加


《ポイント》
・輸出はアジア向けの減少が続いているものの、景気堅調な米国、EU向けが好調な伸びを維持していることにより、前年同月比+2.0%と3か月連続のプラスとなった。
・輸入は、内需の不振等を反映して木材等の落込みが続いており、同−3.0%と8か月連続で前年同月を下回った。
・この結果、通関貿易黒字は、8,926億円、前年同月比では+24.1%と17か月連続で前年同月の水準を上回った。
(出所:大蔵省 9月30日発表)