金 融 市 場 (10月期)


国 内 金 利

 


  • 10月上旬の無担保コール翌日物金利は、日銀の緩め調節を受け0.2%台後半から過去最低水準の0.20%まで低下した。日銀は過度の低下を牽制し約3か月ぶりに中立調節を実施したが、低水準でもみ合った。中旬も中立調節が継続され、積み最終日の15日には緩め調節に転換したが0.27%までジリジリ上昇した。その後は0.2%台前半で推移した。下旬は22日のNTTドコモ上場に絡む資金需要の盛り上がりや月末を除いては、23日に長銀への支援資金が入り需給環境が改善したこともあって0.2%台前半で推移した。(無担保コール翌日物加重平均金利:0.33% 10月30日現在)

  • 10月上旬のCD3か月物金利は、0.4%台後半から半ばまで低下したが、中旬に入ると12月末に向けて金利上昇期待が高まり0.4%台半ばから0.50%まで上昇し、下旬は月末にかけて0.4%台後半から0.50%のレンジ内で推移した。全般的に、先行不透明感から12月末越えである3か月物は出合いにくい状況が続いた。(CD3か月物金利:0.50% 10月28日現在)

  • 10月上旬の国債指標銘柄利回り(業者間)は、米長期金利の低下や株安から一時0.7%台前半まで弱含んだが、円高進行を受けた利益確定売りが膨らみ、金利は0.8%付近まで上昇した。中旬には、金融早期健全化の公的資金枠拡大方針の報道等から金利は0.90%まで上昇したが、株価下落や緊急経済対策の事業規模に絡む要人発言等を受け、0.8%台前半まで低下した。下旬は、日銀による債券買切りオペの実施により一時0.80%まで低下したが概ね0.8%台半ばで推移した。その後、大型事業債の発行ラッシュから需給が重くなり0.92%まで上昇した場面もあったが、国内勢のポジション調整買いが入って0.8%台前半まで低下した。(国債指標銘柄業者間利回り終値:0.820% 10月30日現在)



国 内 株 式

  • 10月上旬は、1日の日銀短観の結果を受け金融・不動産株が急落してバブル後最安値を更新した。さらに7日以降の円急騰により輸出関連の国際優良株が大きく売られ、9日には再びバブル後最安値を更新し12,800円台まで下落した。

  • 中旬は、12日に金融機能早期健全化法案の修正協議が決着したことを好感し、13,500円台まで戻した。その後臨時国会年内招集見送り観測などから13,000円を割り込んだが、15日の米国の利下げ実施によるNYダウの上昇を受けて13,800円台まで上昇した。

  • 下旬は、連日のNYダウ上昇や空売り規制強化に備えた外国人投資家の買い戻しから一時14,700円台まで上昇したが、その後は利食い売りや外国人投資家が売りに転じたことなどから13,500円台まで下落した。(日経平均株価終値:13,564.51円 10月30日現在)



為     替

  • 10月上旬のドル・円相場は、134-136円台の推移後、日本の追加景気対策の表明、金融早期健全化法案の成立見通しなどで127円台に下落。さらに、ヘッジファンドの大口売りや、グリーンスパンFRB議長の追加利下げ示唆発言、機関投資家のヘッジ売りなどから海外市場で111円台まで急落。しかし、欧米中央銀行介入の噂から一時120円台まで反発した。

  • 中旬は、サマーズ財務副長官のドル政策は不変との発言や、日本国債格下げの噂等から120円台前半に上昇後、FRBの利下げから一時113円台後半に下落。

  • 下旬は、投信設定絡みや、輸入企業などの買いで119円台後半に上昇後、ブラジル通貨切り下げ懸念やG7緊急声明への思惑から一時114円台後半に下落。(ドル・円レート東京終値:116.07/10円10月30日現在)



米 国 金 融

  • 10月上旬のNYダウは、ヘッジファンドの損失拡大・企業業績悪化懸念等から7700ドル前半まで下落した。一方、長期金利(30年物国債利回り)は、「質への逃避」を背景に4.713%の史上最低水準を記録したが、その後ヘッジファンドのポジション調整売りや円高進行から5.1%台前半まで上昇した。

  • 中旬は追加利下げ観測の高まりや日本の金融再生法成立等を好感し、ダウは約2週間ぶりに8000ドル台を回復してもみ合った。15日以降はFRBの緊急利下げや追加利下げ期待の高まりからダウは続伸し8500ドル台に乗せた。一方、「質への逃避」が一段落し利回りは5.0%前後でもみ合った。

  • 下旬は高値警戒感やブラジル通貨切下げの噂からダウは8300ドル台後半まで下落したが、堅調な7ー9月期GDPやG7緊急声明を受け8500ドル台を回復した。債券市場では押し目買いと戻り売りが交錯し5.1%前後での小動きとなった



原     油

WTI原油先物価格(期近物)

  • 10月上旬のWTI原油先物価格は、ハリケーンの影響からメキシコ湾岸の製油所が閉鎖、ガソリン在庫が減少するのではないかとの見方もあったが、供給超過懸念から9月末の高値16.14ドルから14.58ドルまでの低下基調となった。サウジアラビア、ベネズエラ、メキシコによる減産延長も材料視されなかった。

  • 中旬も、供給超過、在庫増加懸念から低下基調となり、13.35ドルと6週間ぶりの安値まで低下した。オマーンの追加減産を検討するとの声明にも反応が薄かった。

  • 下旬は、石油製品、原油在庫の減少を好感して14ドル台を回復した。その後、ハリケーンへの懸念も浮上したが、基調としては需給懸念が残り、14ドル台前半で推移、結局14.42ドルで終わった。 (WTI原油期近物終値:14.42ドル 10月30日現在)