月例経済・金融概観
日 本 経 済

景 気 の 現 状

○○9月の景気動向指数(一致D.I.)は37.5%と14か月連続で50%を下回る

(注):シャドーは景気後退期を示す。
:速報ベースの景気動向指数については、8月分の発表から発表時期を繰り上げており、そのため、一致D.I.、先行D.I.ともに、 発表時点で入手可能な系列のみ(9月は、一致、先行とも11系列中8系列)で計算されている。

《ポイント》
・景気と一致して動き、景気の方向感を示す一致D.I.(ディフュージョン・インデックス)は、9月に37.5%と景気判断の節目とされる50%を14か月連続で下回り、景気の後退局面の持続が再確認された。なお、この「14か月連続の50%割れ」は、現行方式の調査が開始された昭和48年以降で2番目の長さとなっている(最長記録は平成3年3月から平成5年1月までの23か月)。・景気に先行して動き、景気の方向感を示す先行D.I.は、9月に37.5%と12か月連続で50%を下回った。・9月の結果を受け経済企画庁は、「一致指数が昨年8月以降連続して50%を割っており、消費関連の指標が低調であること、雇用関連の指標が依然として厳しく推移していることの影響がみられる。」との見解を示した。             

(出所:経済企画庁 11月6日発表)

【概 要】

全体
・景気は後退局面が持続。最終需要は総じて弱い状況(公共投資は第1次補正予算等の効果の発現で増加。個人消費は低調。住宅投資は低水準。設備投資は大幅に減少。)。鉱工業生産は低い水準。雇用情勢は極めて厳しい状況。

内需面

  • 9月の実質家計消費支出:前年同月比−1.5%(11か月連続の減少)。
  • 9月の新設住宅着工戸数:年率換算値で114.2万戸(3か月連続の120万戸割れ)。
  • 9月の機械受注(船舶・電力を除く民需):前月比+9.2%(3か月ぶりの増加)。 ・9月の公共工事着工総工事費:前年同月比+37.0%(7か月ぶりの増加)。

外需面

  • 9月の通関貿易黒字:前年同月比+45.0%(18か月連続の増加)。

生産面

  • 9月の鉱工業生産指数:前月比+2.5%(3か月ぶりの上昇)。
  • 9月の在庫率指数(=在庫/出荷):前月比−2.6%(3か月ぶりの低下)。

雇用面

  • 9月の完全失業率:4.3%(既往最悪となった6月、8月と同水準)。
  • 9月の有効求人倍率:0.49倍(既往最悪となった7月、8月(0.50倍)を更新。有効求人数(季調値)も前月比−1.1%と再び低下)。

物価面

  • 9月の全国消費者物価(生鮮食品を除く総合):前年同月比−0.5%。10月の国内卸売物価:同−2.1%。



家 計 部 門

○実質家計消費支出・・・・・9月は前年同月比−1.5%と11か月連続で減少

《ポイント》
・9月の実質家計消費支出は、前年同月比 −1.5%と11か月連続で減少となった。費目別に見ると「教養・娯楽」がプラス寄与となったものの、「交通・通信」など10費目中7費目がマイナス寄与となった。しかし、全体としてはマイナス幅は縮小している。

・大型小売店販売額(店舗調整済み)は、同 −5.2%と5か月連続で減少した。業態別には、百貨店が同−5.3%、スーパーも同−5.1%とともに5か月連続で減少した。

(出所:総 務 庁 11月5日発表 通商産業省 10月28日発表)




企 業 部 門

○○鉱工業生産・・・・・9月の鉱工業生産指数は前月比+2.5%と3か月ぶりに上昇

(注)シャドーは景気後退期を示す。10年10、11月の点は予測指数。

《ポイント》

  • 出荷指数は前月比+3.2%と3か月ぶりに上昇した。在庫指数は同−1.2%と5か月連続で低下した。
  • 生産予測指数は、10月が前月比−1.1%、11月が同−0.3%と見込まれている。
  • 通産省は、「生産はこのところ停滞しており、在庫調整に進展がみられるものの、依然として在庫率は高水準にあることから、今後の動向を注視していく必要がある」と、引続き慎重な判断を示した。

(出所:通商産業省 10月28日発表)



海 外 部 門

○○通関貿易収支・・・・・・9月の通関貿易黒字は前年同月比+45.0%と18か月連続で増加


《ポイント》

  • 輸出はアジア向けの減少が続いているものの、景気堅調な米国、EU向けが好調な伸びを維持していることにより、前年同月比+3.9%と4か月連続のプラスとなった。
  • 輸入は、内需の不振等を反映して木材等の落込みが続いており、同−9.1%と9か月連続で前年同月を下回った。
  • この結果、通関貿易黒字は、1兆5,423億 円、前年同月比では+45.0%と18か月連続で前年同月の水準を上回った。
    (出所:大蔵省 10月30日発表)