米 国 経 済


景気の現状

〇実質GDP成長率・・・7−9月期は前期比年率+3.3%
実質GDPの需要項目別寄与度
実質GDPの需要項目別伸び率推移
《ポイント》

  • 米国の7−9月期の実質GDP成長率(速報値、季節調整値)は、前期比年率+3.3%と、堅調な伸びを示した。GDP価格指数(デフレーター)は、同+0.8%と安定した推移を続けた。・需要項目別の寄与度をみると、内需では、消費が+2.6%ポイント、住宅が+0.3%ポイントと、いずれも好調だった前2期よりは鈍化したものの、引き続き堅調に推移した。在庫は+1.0%ポイントと大幅に積み増された。一方、設備投資は−0.1%ポイントと小幅ながらも7年ぶりのマイナスとなった。外需も−0.8%ポイントとマイナス寄与となった。
(出所:商務省 10月30日発表)


【概 要】

全体
  • 米国経済は拡大。一部に弱い動き(アジア経済の影響による製造業の鈍化、世界的な金融市場の動揺などを背景とした先行き不透明感)。
  • 10月の非農業部門雇用者数:前月差+11.6万人。
  • 10月のNAPM(全米購買部協会)景気総合指数(製造業):48.3(5か月連続で50以下)。

内需面

  • 9月の小売売上高:季節調整済み前月比+0.3%(自動車を中心に増加)。
  • 9月の住宅着工件数:季節調整済み前月比−2.5%(戸数では年率換算157.6万戸と高水準)。
  • 9月の非軍需資本財受注(除く航空機):季節調整済み前月比+6.5%。

外需面

  • 8月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季節調整値)の赤字幅:前月比+15.3%の167.7億ドル。
  • 対日貿易赤字:52.0億ドル(貿易赤字全体に占める比率は22.5%と国別で中国に次いで2位)。

生産面

  • 9月の鉱工業生産指数:季節調整済み前月比−0.3%(自動車、鉄鋼などが落ち込み)。

物価面

  • 9月の生産者物価:前年同月比−0.9%(コア+1.1%)。
  • 9月の消費者物価:前年同月比+1.5%(コア+2.3%)。

金融政策(11月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で決定)

  • 政策金利:FF(フェデラル・ファンズ)金利誘導目標を5.00%から4.75%へ、公定歩合も4.75%から4.50%へ、それぞれ0.25%引下げ。



家 計 部 門

〇個人消費(実質GDPベース)…7−9月期は、前期比年率+3.9%(寄与度+2.6%ポイント)

(注)シャドーは景気後退期を示す。
《ポイント》
・最大の需要項目である個人消費は、前期に比べ鈍化したものの依然として堅調な伸びを示し、寄与度でみても最大の成長押し上げ要因となった。
・内訳をみると、これまで好調を維持してきた耐久財がGMストの影響などで前期比年率0.0%と横ばいになった。非耐久財は同+0.3%と底堅く推移した。
・サービス消費は、同+5.5%と好調を維持した。



企 業 部 門

〇設備投資(実質GDPベース)…7−9月期は、前期比年率−1.0%(寄与度−0.1%ポイント)
(注)シャドーは景気後退期を示す。

《ポイント》
・設備投資は、製造業の軟調な業況などを受けて、91年第4四半期以来約7年振りにマイナスとなった。
・内訳をみると、全体の4分の3を占める機械設備投資が前期比年率+1.1%と4−6月期の同+18.8%から大幅に鈍化した他、4分の1を占める建設投資が同−6.5%と3四半期連続でマイナスとなった。



海 外 部 門

〇純輸出(実質GDPベース)…7−9月期は、寄与度−0.8%ポイント

《ポイント》
・輸出は、アジア経済混乱の影響などを受けて、前期比年率−2.9%と3四半期連続の減少となった。
・輸入は同+3.4%と、今年1−3月期以降伸びが鈍化する傾向にある。
・この結果、輸出から輸入を差し引いた純輸出は、年率換算−2,625億ドルと赤字が拡大し、成長寄与度は7四半期連続でマイナスとなった。