金 融 市 場 (11月期)


国 内 金 利

 


  • 11月上旬の無担保コール翌日物金利は、日銀の緩め調節に加え、長銀への追加支援資金が入り一段と需給環境が改善して0.2%台半ばから0.1%台後半まで低下した。その後日銀は中立調節に転換したが、低水準で推移した。中旬に入っても中立調節が継続されたが0.15%の過去最低水準まで低下した。準備預金積み最終日の13日は0.22%まで急上昇したが、その後再び低下に転じた。北洋銀行と中央信託銀行への支援資金注入を背景とした資金余剰感を牽制して、日銀は約半年ぶりに積み下調節を実施したにもかかわらず0.1%台後半まで低下した。下旬は資金需要が旺盛となる月末に近づくにつれて上昇した。  (無担保コール翌日物加重平均金利:0.30% 11月30日現在)

  • 11月上旬のCD3か月物金利は、殆ど取引が成立しなかったが、中旬後半に入って一部に金利の高さを選好する流れが生じ0.5%台半ばで出会い、下旬は0.5%台前半で出会った。  (CD3か月物金利:0.53% 11月27日現在)

  • 11月上旬の国債指標銘柄利回り(業者間)は、株価の急反発受けて0.8%台後半まで上昇したが、株価の反落や緊急経済対策を控え様子見ムードが広がったことから0.80%台前半まで低下した。中旬は、日本国債の格下げを受け一時上昇した場面もあったが、緊急経済対策が新味に欠けると評価されたこと等から概ね0.85%を挟んだ水準で推移した。その後、国債増発の大半が市中消化との報道を受けて需給悪化懸念が台頭し0.90%まで急上昇した。下旬は、第三次補正予算概要の決定を受けた国債の市中消化比率アップや、蔵相の金利上昇容認と受けとめられる発言により、さらに上昇し1.0%台に乗せ9月9日の金融緩和以前の水準に戻った。  (国債指標銘柄業者間利回り終値:1.040% 11月30日現在)



国 内 株 式

・11月上旬は、NYダウ上昇、都市銀行の提携等を好感した外国人投資家中心の買いがあり約2か月ぶりに14,500円台に上昇後、持ち合い解消売りや経済対策への期待感からの買いが交錯し14,000円前半でもみ合った。

・中旬は、16日発表の緊急経済対策、17日の米国利下げ、日本国債の格下げに対し、織り込み済で反応が薄く、上値の重い展開となったが、NYダウの上昇、自民・自由党の連立合意による減税期待感等から外国人投資家等の積極的な買いが入り14,700円台まで回復した。

・下旬は、NYダウの史上最高値更新を受けて、国際優良株中心に続伸し15,000円台まで上昇した後、国内投資家を中心とした利食い、持ち合い解消売りと外国人投資家の買い越しにより、15,000円を挟んだ一進一退の値動きとなった。

(日経平均株価終値:14,883.70円 11月30日現在)



為     替

・11月上旬のドル・円相場は、G7緊急声明を受け114円台半ばに下落。その後米国中間選挙での民主党勝利、グリーンスパンFRB議長の信用収縮後退発言、NYダウの上昇など米国経済への安心感、イラク情勢の悪化などから122円台後半に上昇。

・中旬は、イラク情勢緊迫化とその後の軟化、消費税率引き下げ問題、緊急経済対策、貿易問題への懸念、ブラジル支援策発表、日本国債格付け引き下げ、FOMCの利下げなどを材料に118円台後半−124円台前半で推移した。

・下旬は、米系ファンドの売りなどから120円台前半に下落後、月末の投信設定絡みの買いや宮沢蔵相辞任に関する報道などから124円台前半に上昇した。

(ドル・円レート東京終値:123.81/84円11月30日現在)



米 国 金 融

(注)実効為替レートは米・EU・アジア諸国等33通貨ベース、郵政研究所作成

・11月上旬のNYダウは、中間選挙での民主党勝利、グリーンスパンFRB議長の信用収縮後退発言、利下げ観測などから9000ドル手前まで上昇後、様子見で8800ドル台に下落。長期金利(30年物国債利回り)は、株式市場への資金流出から5.383%まで上昇後、5.2%台後半に低下。

・中旬は利下げ期待等からNYダウは9000ドル台を回復し、利下げで利益確定売りから一時9000ドルを割ったが、9100ドル台を回復。長期金利は利下げ期待等から5.2%台半ばに低下し、利下げで5.3%付近に上昇後、イールドカーブがフラット化し5.2%台前半に低下。

・下旬は大型の企業買収からNYダウは9374.27ドルと史上最高値を更新したが、高値達成感から9100ドル付近に下落。長期金利は5.2%台半ばから、ダウの下落や商品価格の下落で5.0%台半ばまで低下した。

NYダウ終値:9116.55ドル   11月30日現在)  (30年物国債利回り終値:5.064%  11月30日現在)



原     油

・11月上旬のWTI原油先物価格は、イラク情勢の緊迫にもかかわらず、需給緩和、在庫増加懸念が強く、ほぼ一本調子で下落。月初の14.36ドルから13.52ドルまでの低下となった。 ・中旬も、イラク情勢の緊迫が材料視される場面では13.84ドルまで上昇した。しかし、米軍の武力行使が回避されるとの見方が強まると、再び供給超過懸念が支配的となり、その後は12.14ドルまで下落した。

・下旬も、月末のOPEC総会での減産延長合意は困難との見方、国連がイラクの原油輸出枠更新を決議したことなどから、一本調子の下落が続いた。OPEC総会では減産合意は見送られ、12年ぶりの安値である11.22ドルまで下落して終った。

(WTI原油期近物終値:11.22ドル 11月30日現在)