月例経済・金融概観
日 本 経 済

景 気 の 現 状

○国民所得統計速報・・・7-9月期の実質GDPは前期比−0.7%と4四半期連続のマイナス成長
実質GDP成長率(季調済み前期比、%)と需要項目別寄与度 実質GDP需要項目別伸び率(寄与度)の推移

(注) 括弧内の数字は寄与度。年度の伸び率は前年度比。

《ポイント》
・「四半期別国民所得統計速報」によると、平成10年7−9月期の実質GDPは季節調整済み前期比  −0.7%(年率−2.6%)と現行統計開始(昭和30年)以来初めて4四半期連続のマイナス成長となった。

・7−9月期の伸びを需要項目別の寄与度でみると、最大の需要項目である消費が2四半期連続でマイナス寄与となったほか、住宅投資や設備投資もマイナス寄与となり国内民需は前期比−1.2%ポイントとなった。一方、公的需要は同+0.3%ポイントとなり、「内需」は−0.9%ポイントのマイナス寄与となった。一方、「外需」は、輸出が前期比プラスに転じ、輸入が依然減少を続けたため、同+0.3%ポイントと2四半期連続でプラス寄与となった。

(出所:経済企画庁 11月6日発表)

【概 要】

全体
・景気は後退局面が持続。公共投資が、前倒し執行や第1次補正予算等の効果で増加したものの、最終需要は総じて弱い状況。鉱工業生産は低い水準。雇用情勢は極めて厳しい状況。

内需面
・10月の実質家計消費支出:前年同月比−1.0%(12か月連続の減少)。
・10月の新設住宅着工戸数:年率換算値で116.1万戸(4か月連続の120万戸割れ)。
・10月の機械受注(船舶・電力を除く民需):前月比%。
・10月の公共工事着工総工事費:前年同月比%。

外需面
・10月の通関貿易黒字:前年同月比+23.5%(19か月連続の増加)。

生産面
・10月の鉱工業生産指数:前月比−1.2%(2か月ぶりの低下)。
・10月の在庫率指数(=在庫/出荷):前月比+1.0%(2か月ぶりの上昇)。

雇用面
・10月の完全失業率:4.3%(既往最悪となった6月、8月、9月と同水準)。
・10月の有効求人倍率:0.48倍(既往最悪となった9月(0.49倍)を更新。有効求人数(季調値)も前月比−1.0%と低下)。

物価面
・10月の全国消費者物価(生鮮食品を除く総合):前年同月比−0.4%。11月の国内卸売物価:同−2.2%。

金融政策(11月13日の日銀金融政策決定会合で決定)
・CPオペの拡充、臨時貸出制度の創設などの企業金融支援策を決定。




家 計 部 門

○実質家計消費支出・・・・・10月は前年同月比−1.0%と12か月連続で減少

《ポイント》
・10月の実質家計消費支出は、前年同月比 −1.0%と12か月連続で減少となった。費目別に見ると「交通・通信」がプラス寄与となったものの、「住居」など10費目中7費目がマイナス寄与となった。しかし、全体としてはマイナス幅は縮小している。

・10月の大型小売店販売額(店舗調整済)は、同−4.8%と6か月連続で減少した。業態別には、百貨店が同−4.7%、スーパーも同−5.0%と共に6か月連続で減少した。

(出所:総 務 庁 12月 3日発表 通商産業省 11月27日発表)




企 業 部 門

○鉱工業生産・・・・・10月の鉱工業生産指数は前月比−1.2%と2か月ぶりに低下

(注)シャドーは景気後退期を示す。10年11、12月の点は予測指数。

《ポイント》
・出荷指数は前月比−1.4%と2か月ぶりに低下した。在庫指数は同−1.0%と6か月連続で低下した。

・生産予測指数は、11月が前月比−1.5%、12月が同+0.6%と見込まれている。

・通産省は、「生産はこのところ停滞しており、在庫調整に進展がみられるものの、依然として在庫率は高水準にあることから、今後の動向を注視していく必要がある」と、9月の判断を継続した。

(出所:通商産業省 11月27日発表)



海 外 部 門

○通関貿易収支・・・・・・10月の通関貿易黒字は前年同月比+23.5%と19か月連続で増加


《ポイント》
・輸出はアジア向けが対前年同月比で−23.7%と大幅に減少したことが影響し、全体でも同−5.7%と本年5月以来のマイナスとなった。

・輸入は、内需の不振や原油価格の低迷を反映して木材、原油等の落込みが続いており、同−14.8%と10か月連続で前年同月を下回った。

・この結果、通関貿易黒字は、1兆3,660億円、前年同月比では+23.5%と19か月連続で前年同月の水準を上回った。

(出所:大蔵省 11月30日発表)