米 国 経 済


景気の現状

〇雇用者数の伸び・・・11月の非農業部門雇用者数は、前月比+26.7万人の増加

《ポイント》
・11月の非農業部門雇用者数は、前月比+26.7万人と10月の同+14.5万人から伸び幅が拡大した。ただこれは主として事業者向けサービス・小売・建設などの非製造業の増加によるもので、製造業は−4.7万人と2か月連続(GMストの影響を除くと8か月連続)の減少となり、アジア経済混乱などの影響を窺わせた。・失業率は4.4%と前月の4.6%から低下した。

・インフレ関連指標とされる時間当り平均賃金は、前年同月比+3.7%と高い伸びを示しながらも、4月の4.0%をピークに伸び率は鈍化する傾向にある。

(出所:労働省 12月4日発表)


【概 要】

全体
  • 米国経済は拡大。一部に弱い動き(アジア経済等の影響による製造業の鈍化など)。
  • 7−9月期の実質GDP(改定値):前期比年率+3.9%と堅調な伸び(4−6月期の+1.8%から回復)。
  • 11月のNAPM(全米購買部協会)景況指数(製造業):46.8(6か月連続で50以下)。

内需面

  • 10月の小売売上高:季節調整済み前月比+1.0%(自動車を中心に増加)。
  • 10月の住宅着工件数:季節調整済み前月比+7.3%(戸数でみると年率換算169.5万戸と高水準)。
  • 10月の非軍需資本財受注(除く航空機):季節調整済み前月比−9.2%(3か月ぶりの減少)。

外需面

  • 9月の貿易・サービス収支(国際収支ベース、季節調整値)の赤字幅:前月比−11.7%の140.3億ドル(3か月ぶりの減少、しかし依然過去最高水準)。
  • 対日貿易赤字:50.7億ドル(貿易赤字全体に占める比率は22.2%と国別で中国に次いで2位)。

生産面

  • 10月の鉱工業生産指数:季節調整済み前月比0.0%(ガス・電力などの公益事業の減少が影響)。

物価面

  • 10月の生産者物価:前年同月比−0.7%(コア+1.1%)。
  • 10月の消費者物価:前年同月比+1.5%(コア+2.3%)。

金融政策(11月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)で決定)

  • 政策金利:FF(フェデラル・ファンズ)金利誘導目標 … 5.00%から4.75%へ(0.25%引下げ)
          公定歩合             … 4.75%から4.50%へ(0.25%引下げ)



家 計 部 門

〇小売売上高(10月)…自動車を中心に大幅に増加し、季節調整済み前月比+1.0%

(注)シャドーは景気後退期を示す。

《ポイント》
・内訳をみると、自動車が前月比+2.6%と増加した。自動車はGMスト終結以来堅調に推移しており、在庫減・生産増加の背景ともなっている。この他好調な住宅投資を背景に建築資材や家具が増加するなど、軒並み堅調な結果となった。

・11月の消費者信頼感指数は126.0と5か月ぶりに回復した。金融緩和などを背景として、将来への期待感が改善した。

(出所:商務省 11月13日発表) コンファレンスボード 11月24日発表)







企 業 部 門

〇鉱工業生産指数(10月)…公益事業の落ち込み等から、季節調整済み前月比0.0%と横ばい
(注)シャドーは景気後退期を示す。

《ポイント》
・業種別にみると、全体の約86%を占める主力の製造業が微増にとどまる一方、天候要因から電気・ガスなどの公益事業が減少したことが影響した。

・鉱工業設備稼働率は、前月比−0.3%ポイント低下し81.1%となった。

・生産・出荷等の先行指標とされる製造業新規受注は、前月比−1.6%と5か月ぶりの減少となった。

(出所:FRB 11月16日発表) (商務省 12月 4日発表)



海 外 部 門

〇貿易・サービス収支(9月)…国際収支ベース・季調値の赤字は、140.3億ドルと3ヶ月ぶり減少

《ポイント》
・赤字額は、前月比−11.7%と3か月ぶりに減少した。これは民間航空機の輸出が一時的に急増したことの影響によるものとみられる。

・内訳をみると、サービス収支の黒字が前月比−4.0%と減少、貿易収支の赤字も同−9.4%と減少した。

・対日貿易赤字は前年同月比−0.6%と小幅低下し、赤字全体に占める割合は22.2%と中国に次ぐ国別2位となった。

(出所:商務省 11月18日発表)