月例経済・金融概観
日 本 経 済

景 気 の 現 状

○日銀短観(平成10年12月調査)・・・主要企業・製造業の業況判断は▲56と9月調査(▲51)から悪化
主要企業・業況判断D.I.の推移
(注)シャドーは景気後退期を示す。11年3月の値は予測値。
業況判断D.I.(「良い」-「悪い」、%ポイント)の前回との比較

注) 括弧内の数字は前回調査時点での予測調査の結果。

【概 要】

全体
・景気は後退局面が持続。最終需要は総じて弱い状況(公共投資は、着工の伸びはこのところやや鈍化しているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる)。鉱工業生産は低い水準。雇用情勢はさらに厳しい状況。

内需面
・11月の実質家計消費支出:前年同月比+1.3%(13か月ぶりの増加)。
・11月の新設住宅着工戸数:年率換算値で107.0万戸(昭和58年5月以来の110万戸割れ)。
・11月の機械受注(船舶・電力を除く民需):前月比+10.8%。
・11月の公共工事着工総工事費:前年同月比−7.2%。

外需面
・11月の通関貿易黒字:前年同月比−15.9%(20か月ぶりの減少)。

生産面
・11月の鉱工業生産指数:前月比−2.0%(2か月連続の低下)。
・11月の在庫率指数(=在庫/出荷):前月比+0.4%(2か月連続の上昇)。

雇用面
・11月の完全失業率:4.4%(既往最悪となった6、8、9、10月(4.3%)を更新)。
・11月の有効求人倍率:0.47倍(既往最悪となった10月(0.48倍)を更新。有効求人数は前月比−4.9%と減少)。

物価面
・11月の全国消費者物価(生鮮食品を除く総合):前年同月比−0.3%。12月の国内卸売物価:同−2.2%。




家 計 部 門

○実質家計消費支出・・・・・11月は前年同月比+1.3%と13か月ぶりに増加
(注)シャドーは景気後退期を示す。
《ポイント》
《ポイント》 ・11月の実質家計消費支出は、前年同月比 1.3%と13か月ぶりに増加した。費目別に見ると、「教育」と「食料」がマイナス寄与となったが、特にパソコンが好調だった「教養娯楽」など10費目中8費目がプラス寄与となった。

・11月の大型小売店販売額(店舗調整済)は、同−1.5%と7か月連続で減少した。業態別には、百貨店が同−2.3%、スーパーも同−0.8%と共に7か月連続で減少した。

(出所:総 務 庁 1月 7日発表 通商産業省 12月25日発表)




企 業 部 門

○鉱工業生産・・・・・11月の鉱工業生産指数は前月比−2.0%と2か月連続で低下

(注)シャドーは景気後退期を示す。10年12月、11年1月の点は予測。

《ポイント》
・出荷指数は前月比−2.2%と2か月連続で低下した。在庫指数は同−0.8%と7か月連続で低下した。
・生産予測指数は、12月が前月比+0.3%、1月が同+1.3%と見込まれている。
・通産省は、「生産はこのところ停滞しており、在庫調整に進展がみられるものの、依然として在庫率は高水準にあることから、今後の動向を注視していく必要がある」と、9、10月の判断を継続した。

(出所:通商産業省 12月25日発表)



海 外 部 門

○通関貿易収支・・・・・・11月の通関貿易黒字は前年同月比−15.9%と20か月ぶりに減少


《ポイント》
・輸出はアジア向けが対前年同月比で    −26.6%と大幅に減少したことに加え、米国向けも同−7.7%と32か月ぶりに減少したことに等により、全体でも同−12.8%と2か月連続のマイナスとなった。

・輸入は、内需の不振や原油価格の低迷等を反映して、同−11.8%と11か月連続で前年同月の水準を下回った。

・この結果、通関貿易黒字は、8,932億円、前年同月比では−15.9%と20か月ぶりに前年同月の水準を下回った。

(出所:大蔵省 12月28日発表)