83 1995年9月

『カタログ利用の将来動向について』

                             第一経営経済研究部長 桜井 仁志
                                    研究官 永野 秀之
  1.  1993年度における通信販売の市場規模は、対前年度比3.8%増の1兆9,100億円であり、百貨店やスーパーに比べ、比較的好調に推移している。また、株式公開している通信販売企業のシェアがここ5年間高まるなど、業界大手企業を中心とする寡占化が進んでいる。
  2.  カタログは「保存性」、「説明性」、「情報収容性」、「対象選択性」に優れており、また、通信販売で最も多く利用されており、最も売上げに貢献している媒体である。
  3.  通信販売による顧客一人当たりの購入額が減少しているため、カタログ部数を多く発行することにより、顧客の購入数量を増やし、全体の売上げを増やすため、94年度における通信販売企業のカタログ発行部数は、前年度と比べ大幅に増加している。
  4.  通信販売企業は売上げが伸びてもコストが増大していることから、少しでも物流コストを削減しようと、大手通信販売企業では、大量差出しの場合、割引が受けられる民間宅配便を利用している。
  5. @欧米先進国に比べ、通信販売市場の小売業に占める割合が低いこと、A団塊2世、高齢者や男性等新規顧客の増大、Bパソコン通信やCD―ROM等の通信販売への利用、C返品自由サービスの導入、等により、今後とも通信販売市場は高い成長が見込まれる。
  6.  当分の間、マルチメディアとカタログは補完しあって消費者に商品情報を提供するものと考えられるが、やがてマルチメディアの進展により通信販売の媒体が多様化し、画像情報が台頭するに伴い、カタログは相対的にその地位を低下させるだろう。
  7.  マルチメディア社会へ対応するため、紙のカタログを配達するビジネスに加え、CD―ROMの配達などへも徐々に取り組んでいく必要がある。