「世界情報通信革命」


                             編 :ハーベイ・M.サポルスキー
                                ロンダ.J.クレイン
                                W.ラッセル・ニユーマン
                                ユリ・M.ノーム
                             監訳:武内 信博(*)
 本書は、イシエル・デ・ソラ・プールの業績を記念して開催されたシンポジウムにおける世界の第
一級の学者、行政官たちの研究発表を中心にまとめられたてThe Telecommunications Revolution : 
Past, Present and Future の翻訳である。

 現在、情報通信産業ほど激しい変動を経験している分野はほかにない。しかもその影響は一産業内
にとどまらず、社会経済全般に変革をもたらさずにはおかないことから、情報通信産業の在りかたが、
たんに通信事業者やその規制者のみならず、政府、産業界及び利用者全体からきわめて注目されてい
る。

 このような状況は我が国に限ったものでなく、本書の各章で述べられているとおり、技術革新の普
遍性と通信が本来有する相互波及性のゆえに、世界的な動向となっている。同時に読者は、このよう
な情報通信革命がそれぞれの国の状況によって異なった現れかたをし、また各国が情報通信の戦略性
を認識して、協調しつつも主導権を得ようと凌ぎを削っている様が読み取れると思われる。

 我が国においても制度改革により電気通信分野に競争が導入され、あわせて電電公社が民営化され
たが、当時語られた情報通信の将来は、あるいは実現され、あるいは厳しい現実に直面している。我
が国の情報通信の今後を考えるうえでも、このような情報通信革命の世界的広がりという観点から海
外主要各国の動向を見ておくことは不可欠であるといえよう。本書は情報通信に関心のある人々のみ
ならず、産業政策一般、通商問題等に興味ある人々にとっても参考になると思われる。



*主席研究官