郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年3月:調-97-I-01

『小型物品送達サービスの購買動機に関する調査研究報告書』

                                      元特別研究官   中田 信哉
                                                     元第一経営経済研究部長  桜井 仁志
                                                                 主任研究官   丸岡 新弥
                                                                     研究官   大木 廣明
 本研究では、宅配便等のサービスの利用(消費)に際して「なぜ消費者は、ある特定のブランド(銘柄)を選択するのか。」と言った課題について、その動機及び背景に着目して分析する。したがって、宅配便等の取扱荷物のうち、個人消費者が利用する荷物を対象とする。

 研究の考え方としては、消費者行動のブラック・ボックスと言われる部分について、消費者の潜在的行動を評価規準・信念・態度・意図・選択等にモデル化し、それらを評価する項目や関係をヒアリング調査により分析することを試みる。さらに、消費者が特定の商品やブランドに対して抱くイメージ、あるいはその商品を提供する企業に対して抱くイメージの内容と強度といった潜在的な反応とその消費者の具体的・顕在的な購買行動についてのアンケート調査結果を分析する。

 ヒアリング調査による分析結果から、宅配便等は、消費者の生活に根付いていること。さらに利用する動機の背景は、コトラー教授の指摘によるところの[good―life]の探求が正当化された形としての快楽主義(人間は快を求め、不快をさける)であると考えられた。また、要求5段階説によるョ愛情・所属要求コョ自己実現要求コに基づく行動であると推測された。

 アンケート調査の分析結果から、宅配便等の商品イメージは固まりつつあること、商品選択に際して明確なコスト規準がないと推定されること等が分かった。さらに、宅配便等の選択行動を決定する有力な要因として、取次所等へのアクセシビリティが重要ではないかと考えられた。

 このようなことから宅配便等は、消費者商品分類による最寄品(日用品、手近品、便宜品)的な特性をもっていると推測される。