郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年7月:調-97-IV-02

『インターネットによる地域産業の活性化に関する調査研究報告書』

                    情報通信システム研究室主任研究官  井手  修
 従来、中小企業の情報化や、情報化による地域産業の活性化が言われ、そのため各方面でその支援策として種々の施策が行われてきた。その一方、中小企業自体にも、一部先進的企業を除いては、情報化に対する意志はあっても、資金力やノウハウの不足以前に、資金繰りや日々の業務に忙殺されており、情報化に対処できないのが現実である。また、単独でインターネットにホームページを開設して情報発信を行っても、知名度がない中小企業にとっては、ヒットに結び付かない可能性があり、またヒットされても、信用力が不明な中小企業だと無視される可能性がある。

 このような現状では、インターネットは、中小企業のニーズを解決する有効な手段とはなかなかなり得ないのであろう。

 そこで、本論文では、中小企業のニーズと、それを解決してくれるシーズ側との、互いの要求を結び付ける仲介業務を行うエージェント・サービスを提案する。

 本論文では、このエージェント・サービス機構を、「サーキュレーター」と命名する。

 このサーキュレーターは、
 @ニーズ側、Aシーズ側、B有機的にネットワーク化された専門家
をネットワークとして持ち、
 @エージェント機能、A知的資源、Bコーディネート機能
によって構成される。

 また、サーキュレーターの特徴は、
 @中小企業の信用を醸成し、Aルーズな結合を有効に使い、Bコーディネートとアシスト
を基本とするものである。

 この基本構成をもとに、サーキュレーターの運営に相応しい組織には、
 商工会議所・商工会、自治体、SIベンダー、インターネット・サービス・プロバイダー、学識経験者、関連省庁
の参加が望まれる。

 サーキュレーターが成功するためには、
 @地域内ボーダーレスが推進され、A情報ネットワーク分野のアプリケーション・レベルの標準化、及び、各種コード、フォーマットの標準化が推進され、Bサーキュレーター参加組織の責任分担を明確にする必要がある。