貯蓄経済研究

季刊 個人金融 2021年夏号

発行年月 2021年8月

特集 新型コロナ禍によって拡大した所得格差と所得保障

新型コロナ対策の一環として一律10万円の特別定額給付が実施されたことを受け、ベーシックインカムなどの新たな所得保障制度が注目を集めています。その背景には所得格差の拡大により所得の低い層が増加していることがあります。厚労省の所得再配分調査報告書によれば、当初所得のジニ係数は1981年の0.3515から2017年の0.5594へ悪化しています。また、所得再分配後のジニ係数の上昇は、1981年の0.3177から2017年の0.3721へと穏やかに上昇しています。
そこで、新型コロナ禍において議論されている、所得格差の動向、ベーシックインカム、給付付き税額控除制度などの新たな所得保障制度・生活保障の可能性、課題について、欧米の動向も含め、さまざまな観点から分析・考察しました。

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目次

特集

コロナウイルス感染症と日本の経済格差-「家計調査」の結果(2019年、2020年)による考察-

九州大学大学院経済学研究院教授 浦川 邦夫

※論文10頁の表6-1, 表6-2の数値に誤りがあったため、当該箇所について修正を行いました。

コロナ禍の影響-シニア層の男性の老後貯蓄と引退時期をめぐる変化-

日本女子大学人間社会学部教授 周 燕飛

ベーシックインカムと郵便局-無条件所得給付の意義-

同志社大学経済学部教授 山森 亮

ベーシック・インカムは財政的に可能か

名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰

デジタル・セーフティーネットの構築―給付付き税額控除制度の導入を

東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹

所得連動型現金給付などコロナ禍で必要とされる個人の救済策について

一橋大学大学院経済学研究科教授 佐藤 主光
慶應義塾大学経済学部教授 小林 慶一郎

フリーランスの所得保障

九州大学大学院法学研究院教授 丸谷 浩介

なぜベーシックサービスなのか

慶應義塾大学経済学部教授 井手 英策

調査・研究

お金に対する心理的態度と金融知識の関係:アンケート調査の予備的分析

広島経済大学経済学部准教授 山根 智沙子
関西学院大学商学部教授  阿萬 弘行
関西大学経済学部教授  本西 泰三

経済社会の変動と非正規雇用の問題 ―社会保障の問題について―

愛媛大学法文学部講師 高橋 勇介

ニュース解説
銀行法等の改正

一般財団法人ゆうちょ財団 貯蓄経済研究部長  山本 一吉

書評
今井 順 著『雇用関係と社会的不平等 -産業的シティズンシップ形成・展開としての構造変動』

東京大学社会科学研究所教授 有田 伸

山口 慎太郎 著『子育て支援の経済学』

一橋大学大学院経済学研究科・国際・公共政策大学院教授 山重 慎二

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