『東京を中心とした上場企業本社オフィスの立地動向分析』


                           第一経営経済研究部研究官 足立  聡
                         特別研究官(東京工業大学教授)肥野田 登

 東京一極集中現象の核心は、東京における行政・経済・文化の「中枢管理機能」の拡大と、それに
密接に結び付いた企業のオフィス立地の集中にあると考えられる。本稿では、オフィスの中でも上場
企業の本社オフィスを対象にして、全国レベル、東京23区レベル、さらに業種別に、その立地動向
を分析し、さらに企業組織の観点から東京本社の分散可能性を探ることのできる複数本社側について、
事例を挙げて研究を行った。

 上場企業の本社オフィスについては、1.東京で実数として増加しているが、上場企業全体からみる
と、東京立地のシェアは低下している、2.東京以外の地域では、官庁との関係が必ずしも多くない製
造業や、商業、サービス業で増加している、3.都心3区の集積は極めて高いが、副都心のシェアが増
加している、4.副都心では商業、サービス業、不動産業などの都市型産業の増加が目立つ、といった
ことが分かった。

 複数本社制をとる企業は、その機能分散の形態から、1.東京本社が国内営業本部の性格が強い営業
本部型、2.東京本社に本社機能の大半を移している東京中心型、3.本社機能をほぼ均等に分散してい
る機能分散型、に分類ができるが、このことから地方に本社機能を分散しても企業活動に支障がない
こととなり、複数本社制をモデルとした本社オフィスの分散が可能であると考えられる。