郵政研究所月報

2000.11


調査研究論文

市町村合併のメリット(1)


第二経営経済研究部研究官

西川 雅史

[要約]

本稿の目的は、Brennan/Buchanan(1980)の「リヴァイアサン仮説」で政府が肥大化する要素として指摘される「財政分権度」と下位団体の「自治体数」に注目し、市町村合併が財政に及ぼす影響について検討することである。とりわけ、本稿では、基礎的自治体の数の変化に留意し、以下のような結論を得た。

 市町村合併による自治体数Nの減少は、(1)財政制度が分権化されているならば、地域間競争を緩和させ、財政を肥大化させるので、望ましい政策とならない。他方で、(2)集権的財政システムの下でならば、市町村合併は、競争緩和効果以外に、財政錯覚を抑制し財政規模を適正化する効果を期待できる。したがって、(3)日本のように集権的な財政制度下での市町村合併は、財政支出を歪ませる力と適正化させる力とが同時に働くことになる。

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