郵政研究所月報

2001.3


調査研究論文

郵便局の新たなサービスについてのニーズ


;第一経営経済研究部主任研究官

小竹森宣昭

[要約]

1 郵政研究所では、平成11年12月に、全国の18歳以上の3000人を対象とする「郵便局に関する調査」を実施した。この調査は、郵便局での行政関連サービス、社会福祉関連サービス、新たに郵便局で利用したいサービス等について国民のニーズを把握することにより、新たなサービス開発、改善のための基礎資料を得ることを目的に実施したものである。

2 本調査の結果、次のようなことが明らかとなった。

ほとんどの人が郵便局を利用しているが、半数が月1〜2回であり決して多いとは言えない状況である。また、特に低い年代の利用が少ない状況である。低い年代は貯金関係の利用が少なくなっている。

郵便局でのワンストップ行政サービス提供へのニーズは強い。要望が多い手続は、住民票の写し、運転免許証の更新、パスポート申請、印鑑登録証明、年金関係の届出である。

  なお、サービスの提供は郵送よりも即時交付を望む声が多くスピードが求められている。

郵便局での郵送による情報、パソコンによる情報ともにニーズが高い。郵送による情報は、観光、特産物、お祭り、ふるさと小包等、パソコンによる情報は、イベント、交通機関の予約状況、休日の当番医等、地域ニュース等のニーズが高く、郵便局に地域の情報センター的な役割が求められている。

ひまわりサービス、道路情報の提供、徘徊情報の提供については過半数の人が要望している。また、郵便局が今後力を入れる分野として半数が高齢者の支援を挙げており、郵便局が社会福祉関連サービスに関わることについての期待は強くなっている。

郵便局での各種チケット、文房具等の郵便関連商品の購入申込、コピー、ファクシミリ、インターネットの利用等、新たなサービスへのニーズも高くなっている。これらのサービスは低い年代や規模の大きい都市においてニーズがより高くなっている。

 なお、新たなサービス開発に際しては、品質管理の徹底を望む声が一番多く、次いで地域の特色に配慮したサービス、全国同一のサービス、わかりやすい料金を望む声が多くなっている。

3人に2人は日頃利用している郵便局にほぼ満足しており、不満は1割強であり、全体的には満足している人が多い。しかし、男性及び低い年代の人は不満がやや多くなっている。

郵便局への意見・要望では、接遇を改善してほしいという意見が一番多く、この他では、休日の利用・平日の利用時間の延長、窓口待ち時間の短縮、局舎や駐車場の狭隘改善等への要望が多くなっている。

3 以上から、郵便局サービスに関して次のような課題が考えられる。

郵便局の利用の促進を図るためには、低い年代の利用を増加させる必要があり、各種チケット等が購入できる郵便局及び購入可能品目の増加、インターネットによる各種照会や取扱、ATMの利用時間の延長等、低い年代のニーズへの配慮が必要と思われる。

ワンストップ行政サービスでは、即時交付が可能な自治体端末の郵便局への設置、行政サービスメニューの増加等の検討が必要である。

郵便局に対して地域の情報センター的な役割が求められていることから、活き活き情報交流サービスで情報入手可能な自治体の増加、特色ある郵便局ホームページの開設、各種行政情報の提供に努めることが必要である。

ひまわりサービス、高齢者への声かけサービス、道路情報提供サービス等の社会福祉関連サービスの拡充を検討する際には、業務に支障を生じない観点からの検討も必要と思われる。また、郵便局スペースを有効活用した介護教室、局舎のバリアフリー化等も必要と思われる。

郵便局での新しいサービスとして、各種チケット等が購入できる局及び購入可能品目の増加、郵便関連商品の販売、インターネットによる各種照会や取扱、金融商品の多様化、民間金融機関との連携サービス等について検討する必要があると思われる。なお、コピー機、ファクシミリ機、インターネット利用のためのパソコン設置については、費用対効果等を見極めた上での検討が必要と思われる。

新しいサービス開発に際しては、正確・迅速、親切・丁寧な取り扱い、適切なサービス内容の説明等、サービスの品質管理の徹底に努めることが重要である。また、全国均一のサービスの中で地域の特性を踏まえた選択的なサービスを準備するというようなことが必要と思われる。また、料金はできるだけ簡素な体系とするよう検討することが必要と思われる。

郵便局への意見として接遇の改善が非常に多いことから、窓口担当職員、外務職員への接遇並びに正確で早い事務処理のための指導や訓練、多忙時における相互応援体制の整備等が必要と思われる。

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