郵政研究所月報

2001.8

調査研究論文

多チャンネル時代の放送市場に関する調査研究


通信経済研究部研究官        土谷 純二

[要約]

 郵政研究所では、平成12年11月に「テレビに関するアンケート調査」を実施した。この調査は、平成6年、平成9年と3年ごとに実施しており、今回で3回目となる。本調査の目的は、多メディア化・多チャンネル化が急速に進展するなか、テレビ視聴者の視聴行動について客観的に把握しその特性を明らかにすることであるが、平日の10分ごとの視聴チャンネルを記入してもらう点に特徴がある。また、今回は東京地区の他に民放地上波の受信可能チャンネル数が少ない北陸地区も調査対象に加え、比較を行うことを意図した。アンケート調査結果の基本的なクロス集計結果について概観する。  アンケート調査結果から得られた主要な結果をまとめると以下の通りである。


  1.  CSデジタル加入世帯においては、東京地区、北陸地区ともに情報機器の所有比率が高く、特にパソコンやインターネット機能付き携帯電話・PHSの所有については、東京地区では、一般世帯、CATV加入世帯を大きく引き離している。また、その構成員は自分専用のテレビの所有比率が高い。

  2.  CATVへの加入動機を地域別に見てみると、東京地区は難視聴対応やアンテナなど住宅要因での回答が多いのに対して、北陸地区は配信されるソフト要因が目立っている。次にCSデジタル加入世帯を比較すると、東京地区では、専門チャンネルへのニーズの高さがうかがわれる。

  3.  CSデジタル加入世帯の視聴者は、東京地区、北陸地区ともにテレビを見る前には、番組表で確認したり、見たい番組は深夜・早朝でも起きて見る比率が高いなど、視聴したい番組を選別して見ている傾向が伺える。

  4.  時間帯別視聴率は、朝は、東京地区でピーク前の5時台から徐々に視聴率が上昇するが、北陸地区では7時にかけて、一気に上昇している。昼のピーク時は、東京地区より北陸地区が高い。午後6時から9時はどの時間帯も北陸地区の方が高いが、午後11時以降になると、東京地区が逆転して北陸地区を上回っている。

  5.  BSデジタルによる本放送のサービスについては、その認知をたずねたところ、回答者のほぼ8割が「知っている」との結果が得られ、6割近くがBSデジタル放送に対して何らかの関心を持っていることが示された。一方、ラジオの視聴状況については、日常生活で、回答者の約7割がラジオを聞く機会があるとの結果が得られた。ラジオ聴取の特徴として、他の行動をしながらラジオを聞く、いわゆる「ながら聴取」型の人が多いことが明らかになった。



全文(PDF) 多チャンネル時代の放送市場に関する調査研究