郵政研究所月報

2001.11

調査研究論文

日米のコンピュータの価格指数について


前通信経済研究部長  西川 泰久

[要約]

 米国でIT革命がもてはやされ、ひいては「ニューエコノミー」論争が展開された。日本においても5年以内に世界最先端のIT国家を目指してe−Japan重点計画が策定された。しかしながら米国と日本の現状を比較する際にIT関連のデフレータの差、とりわけ「電子計算機・同付属装置」のデフレータの差の大きさに驚かされる。本稿においては、日米の「電子計算機・同付属装置」のデフレータの作成方法を検証するとともに、米国のデフレータを日本に当てはめた場合、日本の実質GDP成長率等にどのような影響を与えるかを1995年から1999年まで計測した。その結果、1999年で0.76%の成長率であったものを1.46%へと、0.7ポイント成長率を押し上げることとなった。このことは、寄与度と労働生産性をも0.7ポイント上昇させることをも意味している。また、情報装備率(民間部門における就業者一人当たりの電子計算機・同付属装置のストック額)という概念を導入し、日米の比較をもおこなった。1999年で日本が43.8万円、米国が66.3万円(為替レート125円と仮定)であった。  今後IT先進国を目指すのであれば、それを計測するためのデフレータ機能に着目した指数の開発が、いまほど政府に求められている時期はないと考える。その際においては、そのデータの収集方法、データの取扱い方法、推計関数の決定、指数系列をどう分け何系列にし、どう統合されるのかという基本的な点をマニュアルレベルまで掘り下げて、十分に議論する必要があると考える。


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