郵政研究所月報

2001.12

トピックス

郵便局窓口の「生活インフラ」的機能について

〜災害時地域拠点としての可能性に関する考察〜

通信経済研究部研究官(技術開発研究担当)  大村 紋子

[概要]

 災害時における郵便局のサービスは、被災直後は救援物資配達も含めた郵便配達と地域情報提供のニーズが大きく、外務員を中心とした集配局の対応力強化が必要となる。一方で、復興過程における中長期的な時間軸でみると、地区ごとに散在する無集配局が、情報交流拠点や生活再建の相談の場といった「生活インフラ」機能を果たす地域拠点となる可能性が多くある。  阪神・淡路大震災以降、災害時の一次責任を負う地方自治体は、その災害対策体制を変化させている。郵便局と地方自治体との間に防災協定の締結が進められたのも、このような変化のひとつに位置づけることができる。また、近年郵便局が災害時に地方自治体と連携して行った地域協力事例には、協定に明記されていない柔軟な活動も多く、多様化してきている。  地震被害想定にもとづく郵便局への地域協力ニーズを検討した結果、協定締結局全ての足並みを揃えた協力活動には困難が予想される。ニーズも地区ごとに異なると予想されるため、協定の精神にもとづいて、実際面では各局がそれぞれの対応能力にあわせて柔軟に地域協力活動を行い、郵便局窓口ネットワークの活用によって各局の活動を支援する方策が現実的である。


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