郵政研究所月報

2002.2

調査研究論文

地域区分局の郵便内務作業における
レイアウトの近接性について


通信経済研究部主任研究官(技術開発研究担当)  細川 東洋一


[要約]
 2001年1月号(No148)において、『一般局における郵便内務作業のレイアウト要素の近接性について』と題して、一般局の郵便作業室に関するレイアウト手法を明らかにするための調査研究の一部について報告した。
 本稿では、その関連として、一般局とは規模、役割を異にする“地域区分局”の郵便内務作業におけるレイアウトの近接性に関する調査研究について述べることとする。
調査研究の対象とした地域区分局は、その実態を把握するために最も適当と考えられる条件を、1:新型区分機が複数台配備されていること、2:小包区分装置が設置されていること、3:建設年度が新しいこと、4:外国郵便等の特殊要素がないこと(以上、定量的調査対象局条件)、及び5:開局時からの管理者が在籍していること(定性的調査対象局条件)とし、全国84局の地域区分局の中から定量的調査の対象局を3局を選定し、A:郵便物の運搬回数、B:空パレットの運搬回数、C:作業員の空移動回数の実数調査を24時間かけて行い、さらに定性的調査対象局として定量的調査とは別に3局を選定し、開局時から在籍する管理者に対するヒアリング調査を行った上で、システム的レイアウト計画の技法を援用して分析を行った。
 調査の結果、地域区分局の作業工程において運搬・移動した郵便物、空パレット及び作業員の割合は、郵便物が約80%、空パレットが約15%、作業員の空移動が約5%であることが分かった。こうした実態から、地域区分局のレイアウトを考えるに際して最も重要な要素は郵便物の運搬であることが確認できた。また、各調査局が共通的に重要視している事項はア:レイアウトの柔軟性、イ:エレベータ及び通路の位置の重要性、ウ:空パレットの回避であることも判明した。



1 調査時における局数であり、平成12年10月現在では83局となっている。
2 ここでの空パレットとは、郵便物が入っていない空のロールパレットを指す。


全文 地域区分局の郵便内務作業におけるレイアウトの近接性について前編後編