郵政研究所月報

2002.6

トピックス

都道府県別にみた民間生命保険契約と
簡易生命保険契約の特性


第三経営経済研究部研究官  小原  宏


[要約]
 本稿では、都道府県別の民間生命保険と簡易生命保険の契約実績の比較、提供主体の内部・外部要因との関係性の比較により、その特性を明らかにすることを試みる。
 その結果、我が国全体でみた場合は、@新契約数の規模が類似している国内会社と簡易保険の契約1件当たり保険金額が大幅に異なること、Aここ10年間の両者は新契約数でほぼ同様の動きを示すが、保険金額ではそれが明確でないことが、また、都道府県別でみると、B国内会社の実働営業員数と契約数との間には強い正の相関があること、C人口規模を捨象した契約数と人口密度・県民所得との関係は、国内会社に正の、簡易保険に負の相関が伺えること、D人口規模を捨象した契約数と県内総事業所数・県内総従業員数との関係については、両提供主体とも正の相関が伺えること等が明らかとなった。
 これらの結果を断ずるにはなお詳細な分析・検討を要するが、あえてここで解釈を試みると、簡易保険は国内会社の契約実績の平均よりも低い保険金の上限額を持った商品であること、実際の保険金額の平均も国内会社の実績に比べて相当低いこと、地域に密着した郵便局が提供していること等を勘案すれば、定性的に言われているように「民間保険」と「簡易保険」が需要者のニーズを分担してきた関係が量的な分析からも現れているといえ、また、生命保険を求める者に対して経済や人口の集中度の高い地域に特化されることなくある程度広く供給主体としての責任を果たしてきたといえる。


全文 都道府県別にみた民間生命保険契約と簡易生命保険契約の特性